官と一体化することなく議会からの条例提案、政策実現を

こんばんは。新宿区議会議員の伊藤陽平です。

本日は、議会の政策立案についてご説明させていただきます。
先日も当ブログでお伝えした手話言語条例など、議会からの政策提言が活発になっています。
基礎自治体においては、政局による対立は少ない傾向にあり、議会からの政策提案は積極的に行なっていくべきだと考えています。
私は一人会派ということで、単独で条例提案ができる立場にはありませんが、今年度は議会が主体的に条例提案を行なっていけるように準備を進めていきたいと思います。

議員提案条例は一長一短でもあります。
執行部提案(区長提案)の場合、予算措置も行われ、内部の調整もバッチリな状態で、政策を実行することを宣言するような形で生まれます。

一方で、議員提案条例の場合、実現することができても、予算措置や行政との意思疎通が不十分で、効果を十分に発揮することが難しくなる可能性があります。
そのため、「理念条例」として可決ができても、効力がほとんど発揮されないということもあります。

先述の通り、最近では議会提案の政策条例が活発になっています。
執行部提案の場合、行政が各種団体との調整に難航し条例がストップしてしまう場合もありますが、議員提案条例の場合は、スピーディに条例の可決が行える可能性があリます。

首長を輩出した会派を中心に、官と一体化することで、政策の実現を行うことはできるかもしれません。
議員提案条例が行われているわけではないので、わかりにくいですが、各議員は行政に影響を与えています。
しかし、議会は民の立場である以上、提言することが議会の役割で、今後も活発になるよう、一議員として取り組んでいきたいと思っています。

選挙の際には、政治家はそれまでの成果に注目されます。
議会から何を提案し、どう変わったのかをお伝えすることは確かに大切なことですが、これがなかなかややこしい問題となります。

政治家が配布するチラシを見ると、
「〜〜党(会派)が〜〜を実現しました。」
ということがたくさん書かれていることでしょう。
こうした実績のPRチラシは特に選挙前になると目にすることができるので、ご興味のある方はご覧ください。

ただ、これは半分正しいですが、半分誤っています。
議決案件であれば、議会の仕事、その後は行政の仕事です。
根本的に、政策を実現する際にも、自分たちがリスクを取っているわけではなく、納税者のお金で事業を行なっているものです。
また、行政の事業には多かれ少なかれ利益誘導の性質があるもので、それを「実績」という言葉でPRすることが適切なのかさえも微妙なところです。

以前、共産党さんが精神障害者への支援を行う条例案を提出されました。
三障害とされながらも、精神に関しては支援が遅れている状況で、すでに7区で実現している政策として今後23区に広まってくる案件だと認識していました。
私も不要な事業は徹底的に廃止を訴えていますが、福祉を手厚くする案件に関しては、状況を判断しながら是々非々で意思表示をさせていただいています。
その際の議案の態度では、共産、民進、社民、スタ新(伊藤)が賛成、自民、公明、新宿会(維新)が反対と真っ二つに割れました。
基礎自治体として与党も野党もありませんが、まさに国政のそれを反映しているような結果になりました。

他自治体の議会議事録を確認したところ、区長から提案が行われ、
「わが会派も推進してきたことであり…。」
と、自公維も賛成しているのです。
もちろん、党議拘束など存在せず、区ごとに会派の考えが異なり、何かしら理由があるのかとは思いますが、こうした賛否の分かれ方は不自然にも見えます。

今回のケースが実現していれば、
「共産党が提案して実現した。」
というお手柄になってしまうことを避けるために、このような対応にならざるを得なかったのかもしれません。

有権者が政治家をどのように評価するのかは、非常に問題は難しく、日頃の政治姿勢まで確認することが求められてくるでしょう。

話を戻すと、執行部提案で条例を可決した方が、問題もなく円滑に進むというわけです。
新宿区議会は、議員提案条例の場合、全会派から提案することで、可決していく必要があるでしょう。

こうした高いハードルはありますが、新宿区議会でも「民」の立場から政策提言を行なっていきたいと考えています。
また、その過程では、「民」も政策を「官」に丸投げすることなく、プレイヤーになることで、一定の成果につながるものと考えています。

幸いなことに、ピリピリする選挙(苦笑)まで2年もの期間があるので、超党派で様々な取り組みを進めて、新宿区政をもっとよくしていきます。

それでは本日はこの辺で。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤 陽平

新宿区議会議員(無所属) / 1987年生まれ / 早稲田大学招聘研究員 / グリーンバード新宿チームリーダー / Code for Shinjuku代表 / JPYC株式会社