役所でマイナポータル利用は要注意。ATMと違ってカードも返ってこないから

こんばんは。新宿区議会議員の伊藤陽平です。

本日と前回の新宿区個人情報保護審議会で、マイナンバー(個人番号)に関する議論を行いましたので、ご報告させていただきます。

まず、国政では個人番号自体について反対する政党もありますが、私は賛成のスタンスで活動を続けてまいりました。
行政には膨大な事務作業がありますが、今でも膨大な紙を使って処理をしています。
新宿区でも選挙の際に投票用紙が消えてしまったことがニュースになりましたが、万能だと思われることもある紙にも、問題がないわけではありません。

また、紙の場合は同じことを何度も書き写さなければいえないので、事務作業の量が増大したり、膨大な資料から特定の情報を検索することが難しいというデメリットもあります。
あるいは、データで保有している場合でも、連携が取れていないために二度手間になるケースもあります。
特に他自治体と連携が必要な事務も多く、効率化が求められていました。

こうした背景から、多くの事務でICT化を推進することで負担が減少し、誤払い等の問題解消にもつながるため、個人番号については一定のメリットがあると認識しています。

日々たくさんの事務のICT化が進んでいますが、効率化した分、税の使い道が改善されたり、税負担の軽減など区民に還元することが必要です。

そして、区民のみなさまにもわかりやすい形でもメリットが必要です。
例えば、マイナンバーカードを活用した証明書のコンビニ交付についてご紹介させていただきました。
新宿区ではまだ導入されておりませんが、時間や場所に関係なく24時間受け取れるようになれば、利便性は向上したと言えるでしょう。
事務によっては、戸籍謄本など取得が面倒な添付書類が必要な際に、マイナンバーで対応可能になることもメリットです。

多くの方が気になっているのは、オンラインによる手続きが可能となる、マイナポータルではないでしょうか。
サービスはすでに公開されており、現在は一部ですが子育てに関する取り組みが始まっています

サービストップ | マイナポータル

さて、問題はマイナポータルを利用するためには、PCやカードリーダーが必要になることです。
PCやカードリーダーをお持ちでない方もいらっしゃることを想定し、区役所でも端末の貸し出しの対応が始まります。
区役所の場合、現在の証明書の自動交付機のような機械が導入されるのかと思っていましたが、今回は一般的なPCにカードリーダーを接続し、手続きを行うようです。

ここで問題なのが、自動交付機や銀行のATMのような端末とは異なり、処理が終わったら自然とカードが返ってくるわけではないということです。
私も経験がありますが、ATMでは処理が終わればキャッシュカードが返却され、自動的にログアウトされ、取り忘れると大きな音がして通知までしてくれます。

マイナポータルでは一度ログイン状態になると、ログアウトの処理を行うまではアカウントを利用できてしまうという可能性もあります。
自宅では問題ないかもしれませんが、区役所のPCでログアウトを忘れてしまった場合は、なりすましの問題も発生します。

この辺を踏まえて本日と前回の会議で議論をさせていただきましたが、現時点での対応は、PCは都度レンタル、そして盗難防止のためにもワイヤーで固定するということになりました。
PC利用に職員が関与することはありませんが、レンタルの前後にカードリーダーやログイン状態を確認することで、カードの取り忘れやなりすましの防止につなげます。

しかし、本来であればATMのように指示に従えばカードの取り忘れがないようなシステムにすべきです。
PCとカードリーダーに関するオペレーションについては、国からも指示がなく端末だけ送られてきましたが、対応が乱暴だと言わざるを得ません。
新宿区では議論の末、ワイヤーまで持ち出す強引な対応になってしまいましたが、システム自体でより安全性が担保できるよう改善が必要です。

安全性の議論もありますが、利便性の観点からワイヤーでつながれたPCをレンタルしてまで手続きを行うことは敬遠されるとは思います。
もちろん、将来的にはスマートフォンのカードリーダーを活用して手続きを行うことが想定されますが、試行運用の段階ではありますが、まだ一般に普及することは難しいと考えています。

区も十分に把握ができていない状況でした。
また、マイナポータル関連の議論では、DV等被害者がカードを自宅に置き忘れてしまい、マイナポータルにログインが可能になってしまうという案件がありました。
重要な情報が閲覧できないよう設定を行うことができるようにすると、国から区に通知がありました。
マイナポータルの試行運用は7月18日からスタートする予定でしたが、通知がきたのは7月13日と、直前です。

国の意向に関わらず、新宿区の方でもDV等被害者を想定して同じような仕組みを事前に準備はしておりましたが、ギリギリのタイミングで通知がきたことはやはり問題があったと思います。

マイナンバーに関しては不安な点も多いですが、場所や時間に関係なく手続きができるようになることは、一つの選択肢として有効だと考えております。
引き続き、議会活動を通じて提言を行ってまいります。

それでは本日はこの辺で。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤 陽平

新宿区議会議員(無所属) / 1987年生まれ / 早稲田大学招聘研究員 / グリーンバード新宿チームリーダー / Code for Shinjuku代表 / JPYC株式会社