新宿区長「性的マイノリティに関して差別的取り扱いをしてはならない。」また、陳情で関連する課題の整理が決定!

こんばんは。新宿区議会議員の伊藤陽平です。

新宿区議会で性的マイノリティについて代表質問をさせていただきました。
さらに、性的マイノリティに関する課題整理というテーマで陳情の審査を行いましたので、ご報告させていただきます。

性的マイノリティへの理解、そして関連する政策を前に進めていきたいと考えております。
基本的なことですが、性的マイノリティに対して、政策的な区別をなくすことが大切です。

新宿区の基本的なスタンスについて確認をしました。
男女共同参画推進条例には、「性別による差別的扱いをしてはならない」と記載されています。
ここで、「性別」という単語が重要です。
辞書的な意味では「男女」のことを指し、性的マイノリティに関する記述はありません。
そこで、代表質問を通じて、「性別」の定義を確認いたしました。
さらに、東京都では新たな部署が設置されたり、同性カップルが社会的養護の担い手になれるよう、里親認定基準が緩和されるなど動きがありましたので、関連する質問をさせていただきました。

伊藤 男女共同参画推進条例第18条の「何人も、あらゆる場において、性別による差別的取扱いをしてはならない。」の「性別」にLGBT等の性的マイノリティの方は含まれるのでしょうか。
既存の行政サービスを見直すと同時に、新たな行政サービスを設ける場合、性別を要件にすべきではないと考えます。新宿区では、性別により区別されないよう事業を確認するなど、どこかの部署で具体的に配慮がされているのでしょうか。
東京都が性的マイノリティに関する取り組みをはじめたことで、新宿区でも担当部署を横断する案件も増えてくることが予想されます。性的マイノリティに関する窓口はどの部署だとお考えでしょうか。また、部署間での連携が必要になると思いますが、何か対策はされているのでしょうか。
同性カップルが社会的養護の担い手になるよう、新宿区でも周知や啓発が必要ではないかと考えていますがいかがでしょうか。

吉住区長 はじめに、性別による差別的取り扱いを禁じる新宿区男女共同参画推進条例第18条における「性別」と性的マイノリティの方との関係についてです。
新宿区男女共同参画推進条例が目指しているのは、性別の違いにかかわらず、すべての人が個人として尊重され、差別的取扱いを受けることのない社会の実現です。性的マイノリティの方も、人としてその人権は尊重されるものであり、不当な差別を受けることがあってはなりません。
したがって、同条例18条では、性的マイノリティの方の性別に起因する差別的取り扱いも禁止しています。

次に、性別により区別されないよう、事業を確認するなどの具体的な配慮がなされているのかについてです。
区は、新宿区男女共同参画推進条例において性別による差別的取扱いを禁止しており、各部署は条例の趣旨に基づき、性別により区別しないよう配慮し、事業を実施しています。
具体的な事例としては、申請書等の不要な性別欄の削除や、アンケートの性別欄を自由記載に変更するなどの見直しを行いました。また、区施設において「だれでもトイレ」の整備を推進しています。
今後も、誰もが、性別により区別や差別されることのない行絵師サービスの実施に努めていきます。

次に、性的マイノリティに関する窓口となる部署と、部署間の連携についてです。
新宿区第三次男女共同参画推進計画では、多様な生き方をみとめあう社会づくりを目標のひとつと定めており、その理解促進と支援については、男女共同参画課が担当しています。
また、性的マイノリティについては、様々な分野での対応が求められるため、各部署の連携は重要です。区は、男女共同参画行政推進連絡会議を設置し、庁内の横断的な連携、情報共有をはかり、施策を推進しています。

次に、同性パートナーが社会的養護の担い手になるよう、区でも周知や啓発が必要ではないかという点についてです。
東京都では、さまざまな事情により自分の家族と暮らせない社会的な養護を必要とする子どものために、里親制度を実施しています。
平成28年の児童福祉法改正により里親委託の推進が示されたことから、都では里親認定基準の見直しを行いました。平成30年10月からは里親の年齢の上限を撤廃するとともに、配偶者がいない場合の要件を緩和し、親族以外の同居者も可能となります。
区は、里親制度の周知、啓発のため、毎年、都と共催で養育家庭体験発表会や街頭キャンペーンを行なっています。今回の認定基準の改正についても、こうした機会をとらえて周知、啓発を図ってまいります。

吉住区長から、かなりのボリュームで丁寧なご答弁をいただくことができました。
まず、性別とは男女以外に性的マイノリティも含まれることが、区の公式見解となりました。
つまり、「性的マイノリティに関して差別的取り扱いをしてはならない。」と条例を解釈することができるようになりました。
この答弁は、後述する陳情にも関連します。
社会的養護についても、前向きなお返事をいただきました。
引き続き東京都の動きを注視してまいります。

本日の文教子ども家庭委員会で、「新宿区における性的マイノリティへの配慮に関する陳情」に関する審査が行われました。
陳情の趣旨は、新宿区として性的マイノリティについて課題を整理することです。
他自治体で提出されている同性パートナーシップ条例制定に向けた陳情ではありません。
見解は以下のブログに書かせていただきましたが、同性パートナーシップ条例が制定されていないから遅れているわけではありませんし、今回の陳情には、たくさんの当事者の思いが込められています。

過去のブログはこちら。

実績ある「同性パートナーシップ証明書」を超えて。もっと性的マイノリティに優しいまちづくりを推進

2018年5月25日

他会派からも、陳情の趣旨に賛同する発言がありました。
別の議員から指摘があったことですが、本陳情の趣旨にそって課題を整理しても、庁内の動きが外部から見えにくいという問題を抱えています。
議会の答弁等で見解を発表していただくことも必要ですが、区民への説明をより丁寧に行う必要性を改めて感じました。
私からは、陳情提出者の気持ちを踏まえた上で、課題の整理に取り組んでいただきたいということをお伝えしました。
今回、数百名もの署名が集まり、陳情が提出されています。
自治体の研修で講師をされるような著名な性的マイノリティの方のご意見は把握しやすい一方で、一般の方とは接点を持つことも難しいです。
もちろん著名な方のご指摘は鋭いですが、一般の方が抱えている課題が異なる可能性もあります。
ぜひ今回の陳情を機会に、著名人以外も含めた多様な意見に耳を傾けていただければと思います。

さらに、課題の整理を行う上で、民間の存在を忘れてはいけません。
新宿二丁目など、民間の相談窓口が他自治体に比べて豊富です。
相談窓口として、民間の方が適している場合もあり、積極的な連携を進めることが大切です。

陳情は全員賛成で無事に可決されました。
文教子ども家庭委員会で、性的マイノリティに関して議論する機会にもなりました。
引き続き、性的マイノリティの方が暮らしやすい街になるよう、区政に取り組んでまいります。

これからが大切です。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤 陽平

新宿区議会議員(無所属) / 1987年生まれ / 早稲田大学招聘研究員 / グリーンバード新宿チームリーダー / Code for Shinjuku代表 / JPYC株式会社