子どもたちの命を守るスクールセキュリティと防犯教育

こんばんは。新宿区議会議員の伊藤陽平です。

児童生徒を守るための不審者・防犯対策について質問をいたしました。

京都アニメーションや、川崎のカリタス小学校などで、痛ましい事件が起きてしまいました。
さらに、お隣の中野区など近隣でも不審者が問題になりました。

子どもたちも不審者対策の重要性を認識し、落合第三小学校で開催された小・中学生フォーラムでは関連する発表が行われていました。
刺股を利用した不審者対策の訓練が行われていますが、実施頻度が少ないと子どもたちか指摘をしていました。
私もその感覚は正しいと感じました。以前から防災教育には注目が集まっていますが、防犯教育についてもさらに力を入れるべきです。

最近では、悪意を持ち危害を加えることを目的にした殺傷事案など、計画的な犯行が起きています。
テロリストと同様の存在であり、徹底した対策が必要です。ハード面での防犯対策はもちろん、防犯に対するマニュアルや対策を見直すことが大切です。

新宿区立の学校では、入口を施錠することで不審者の侵入を防いでいます。
しかし、明確な意図を持って侵入しようと思えば、門や塀を乗り越えてしまう可能性があります。
また、行事によっては入口が解放されることもありますが、そのような場合の対策を考える必要があります。

実際に悪意のある侵入者が入ってきた場合、児童生徒がどのように逃げ、隠れるかについては、さらなる対策が必要です。
他の自治体の訓練では、不審者の位置が確認されていない段階で児童生徒を講堂や体育館に避難誘導している例も見られます。
極めて危険で児童生徒のリスクを高めるような誤った訓練だと専門家も指摘しています。
校内に悪意を持った不審者が入ってきたらどう動くか、教職員だけでなく児童生徒にも避難する訓練をしておくべきと考えます。

アメリカでは、「スクールセキュリティ」が重要視され、危機管理の専門家との連携が積極的に行われています。
強固な守り、不審者の早期発見、時間稼ぎ、緊急対応が行えるよう指導されています。
刺股等による対応も想定されますが、近くにない場合もありますので、十分ではないと考えています。
海外では、生徒が近くにある物を一斉に投げる抵抗方式や、教室に鍵をかけて電気を消すことで身を隠す方法、バリケードの作り方など、ノウハウの共有や訓練が行われています。
日本でも子どもたちが不審者に対し適切に対処する手段や隠れ方を学ぶことが必要です。

そのためにも、海外の事情にも詳しい危機管理の専門家の知見を活用することが有効だと考えています。
そして教員や児童に向けたマニュアルや啓発資料を作成し、演習の強化が必要です。

以下、質問と答弁になります。

伊藤 区内の学校で不審者が壁を乗り越える可能性について、どのようにお考えでしょうか。
子どもが不審者と遭遇した際の対応などについて、どのような指導をされているのでしょうか。
海外のスクールセキュリティのような危機管理の専門家との連携が必要だと考えていますが、いかがでしょうか。

教育委員会のお考えをお聞かせください。

教育長 はじめに、区内の学校で不審者が壁を乗り越える可能性についてです。
ご指摘のとおり、侵入しようとする明確な意図を持った者がいた場合、区立小・中学校の門や囲い塀を乗り越えることは可能であると考えます。

現在、区立の翔・中学校では、通用門にモニター付インターホンを設置するとともに、敷地内にも防犯カメラを設置し、モニターでの確認や監視を行うことで不審者の侵入を抑止しています。また、不審者が学校内に侵入した場合は、校内に設置した緊急防犯システムを用いて、教室等のフラッシュランプの点滅やサイレン発報により危険を知らせるなど、緊急事態に迅速に対応できる体制を講じて、児童・生徒の安全確保に努めています。

次に、不審者への対応に関する指導についてのお尋ねです。
現在、各学校においては不審者対応のために、警察署にもご協力をいただきながら、不審者が侵入した際の避難所訓練や教職員の対応訓練を実施しています。

具体的には、児童・生徒が、鍵を掛けて教室内でバリケードを組み、身をひそめる術を学んでいます。避難の際は、不審者の居場所を特定した上で暗号化した放送で指示を出し、より安全な移動ができるよう工夫しています。

また、校外で不審者と遭遇した際の対処法については、不審者から距離をとることや防犯ブザーの使用の仕方を身に付けられるようにしています。特に対応の基本である「いかない」「のらない」「おおごえをだす」「すぐにげる」「しらせる」の頭文字をとってつくられた防犯標語「いかのおすし」は、覚えやすい歌等とともに指導しています。

次に、危機管理の専門家との連携についてです。
児童・生徒の命や安全を守ためには、危機管理の専門家と連携を図ることが重要であると考えます。

現在、各学校では、子どもたちを犯罪被害から守ための取組として、学校・家庭・地域・関係機関等の連携によるセーフティ教室を実施しています。
この教室では、警察署や警備会社などの民間企業から外部講師を招き、児童・生徒が専門的な話を聞いたり、身を守方法を実際に体験したりするだけでなく、集まった関係者が防犯について協議するなどしています。

また、小学校では、地域や警察の方と地域をめぐって「地域安全マップ」を作成し、学校周辺の「子ども100番の家」や犯罪が起こりやすい危険な場所w確認できるようにしています。

今後も、専門家の指導や助言を受けるなどして、児童・生徒、教職員が危機管理意識を高め、危険を予測して回避する能力や対応力を高められるよう指導してまいります。

子どもたちの命を守ることは、学校において最も重要なことです。
そのためには、スクールセキュリティへの取り組みを、もう一段階進めていただくことが必要だと考えています。

引き続き、防災教育、そして防犯教育の推進に努めます。

それでは本日はこの辺で。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤 陽平

新宿区議会議員(無所属) / 1987年生まれ / 早稲田大学招聘研究員 / グリーンバード新宿チームリーダー / Code for Shinjuku代表 / JPYC株式会社