こんばんは。新宿区議会議員の伊藤陽平です。
本日は予算特別委員会の最終日でした。
話題の香川県のネット・ゲーム依存症対策条例について質疑をいたしましたので、ご報告させていただきます。
香川県の条例は、ゲーム依存症対策として、ゲームの時間を平日60分、休日90分に制限するものです。
加えて、ゲーム機、パソコン、スマホなどをの使用を小・中学生21時、高校生22時へと規制が行われます。
この動きは、秋田県大館市にまで広がっています。
WHOによるゲーム依存症の定義を確認すると、12カ月以上ゲームにより社会生活に支障が出てしまう状態とのことです。
ただゲームが好きなのとは異なるものです。
今回の規制の実効性があるのかは甚だ疑問です。
オンラインを中心に、「根拠が乏しい」、「現実離れしている」、「子どもの権利条約と矛盾している」などあらゆる論点から反対の意見が出ています。
新宿区教育委員会へ条例制定に関して質疑をいたしましたところ、
「ご家庭の中でルールを決めていただく方針。」
とのご答弁がありました。
当然のことだと思います。
ご理解をいただきありがとうございます。
ゲーム依存症に関する教育や支援は必要だと考えています。
新宿区教育委員会からは、リーフレットの配布が行われていることをご紹介いただきました。
新宿区の産業振興の観点からも問題があります。
香川県の条例をご覧ください。
(事業者の役割)
第 11 条 インターネットを利用して情報を閲覧(視聴を含む。)に供する事業又はコンピュータゲームのソフトウエアの開発、製造、提供等の事業を行う者は、その事業活動を行うに当たっては、県民のネット・ゲーム依存症の予防等に配慮するとともに、県又は市町が実施する県民のネット・ゲーム依存症対策に協力するものとする。
2 前項の事業者は、その事業活動を行うに当たって、著しく性的感情を刺激し、甚だしく粗暴性を助長し、又は射幸性が高いオンラインゲームの課金システム等により依存症を進行させる等子どもの福祉を阻害するおそれがあるものについて自主的な規制に努めること等により、県民がネット・ゲーム依存症に陥らないために必要な対策を実施するものとする。
3 特定電気通信役務提供者(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成 13 年法律第 137 号)第2条第3号に規定する特定電気通信役務提供者をいう。)及び端末設備の販売又は貸付けを業とする者は、その事業活動を行うに当たって、フィルタリングソフトウェアの活用その他適切な方法により、県民がネット・ゲーム 依存症に陥らないために必要な対策を実施するものとする。
信じられないことですが、事業者についても記載がありました。
依存症対策の協力やなぜか表現に関する自主規制まで盛り込まれています。
新宿区役所のすぐ近くには、スクウェア・エニックスがあります。
私自身も12月にドラクエ11S、そして2月議会の前には20年ぶりにFF8をクリアしたばかりで、ファンの一人です。
他にもゲーム会社がありますが、香川県からとやかく言われる筋合いもありません。
産業振興課長からは、
「県の条例が及ぶのは県の中ではないか。香川県の条例が新宿区の事業者に本当に影響するのか、確認させていただきたい。」(※なんじょうさんのメモを引用)
とご答弁をいただきました。
今後も区内事業者へ影響が出ることのないように動向を注視しなければなりません。
ゲームにご理解のある方ならご存知だと思いますが、表現規制や課金に関しては、年齢に応じて適切に対応が行われています。
香川県の条例案は議員提案とのことですが、ゲームのことをよく理解されていない方ではないなと思います。
また、コンピュータ自体を規制することは昨今の教育とも逆行します。
私自身でプログラミング教育の出前授業を実施することがあります。
プログラミングに興味のないお子さんでも、
「ゲームを作ろう!」
と言えば必ず興味を持っていただくことができます。
パソコン部やプログラミングコンテストに応募する子どもはどのように扱うのでしょうか。
また、新宿区ではICTを活用した教育を推進しています。
ゲーム規制とICT教育の推進と逆行している点からも問題があります。
—
自治を重じる議員として、香川県の民意を尊重したいと思っていました。
しかし、新宿区まで巻き込まれてしまう案件となれば、黙っているわけにはいきません。
新宿区にゲーム規制を持ち込まない、さらに既存の条例案についても断固反対の立場を表明いたします。
引き続き、エンターテイメントシティから政策を進めてまいります。
それでは本日はこの辺で。