鳥越候補、書籍にて「覚悟でネカフェ難民から脱出できる」

様々な観点から、宇都宮けんじ候補を差し置いて野党統一候補となった鳥越俊太郎候補は、本当に適切な候補なのかという議論が出てきました。

過去のお二人の活動をみても、それは明らかです。

鳥越候補は、「貧困・格差の是正に向けて、若者への投資を増やすなど、効果的な対策に取り組みます。」という政策を掲げています。

政策|東京都知事候補 | 鳥越俊太郎公式サイト

貧困対策を行っていきたいという意思表示だと思います。

ジャーナリストの鳥越俊太郎氏が2007年に出版された「2時間でわかる問題なニッポン」という書籍があります。
社会問題、政治経済に関して2ページずつ、話題のテーマについて説明されている本です。
その中に、「ネットカフェ難民」というテーマについて解説されたページがあります。

そこでのタイトルは、
「生きる覚悟を持てば”難民生活”から脱出できる」
でした。


いまその状況に陥ってるのは、若者と中高年層が多い。しかも以前も、こういう人がいなかったわけではない。若者なら友達の家に転がり込んだし、中高年なら公園などでホームレスになった。だが現在は、ネットカフェというシャワーもパソコンも使える便利な場所が出現し、それを利用し始めた。そんな彼らを”ネットカフェ難民”と定義したのは、マスコミだ。ホームレスでもテントの中にテレビや冷蔵庫があったりと、”日本の難民”は、決して貧しくはない。もし本気で立ち直りたいと望むなら、生活保護を受けるべきだろう。

人生には、覚悟が必要だ。ガンの病気に僕が侵されたとき、娘はこう質問した。「パパ、どうしてそんなに強いの?」。そのとき僕は、いった。「覚悟があるからだよ。自分には覚悟を、人にはやさしさを。」。他人には覚悟を求めず、やさしく接すれば、大抵のことはうまくいく。しかし自らには覚悟を求めて生きるべきだ。覚悟という一番しんどいものを置き去りにして、都合のいい個性や自由だけを標榜する。そんな社会に歪みを見るのは、僕だけではないはずだ。
「2時間でわかる問題なニッポン」 鳥越俊太郎 著 p.48、49より

どこから突っ込んで良いのか難しところですか、野党統一候補として、あえてこうしたタイトルをつける候補者ってアリなのでしょうか?

ちなみに、この時期(2003年以降)にはすでに民主党の候補者として打診があったことは記録にも残っております。
当時候は補者じゃなかったにしても、党としては鳥越俊太郎氏は都知事に適任だと判断していたということになります。

他人にはやさしさを、とおっしゃっていますが、解決策としては「覚悟を持って生きる」、「生活保護を申請する」ということを書かれていました。

誰もがホームレスやネットカフェ難民になりたいわけではありませんし、今起きている社会問題がそれほど単純な問題でないことは明らかです。

生活保護は受けられないのか?_ネットカフェ難民の光と闇

ネットカフェに行ったことがあるのかは知りませんが、「シャワーもパソコンも使える便利な場所」に対してどのような印象をお持ちなのかも疑問です。

何よりも貧困問題を精神論で片付けてはいけないことは、現場を大切にする「ジャーナリスト」であれば当然にわかっているべきことです。

一方で、鳥越候補に立候補を譲った宇都宮けんじ氏は、貧困対策に取り組まれてきたことでも有名です。

宇都宮氏はこの本が出版された翌年の2008年には年越し派遣村の名誉村長になられています。
また、本来であれば都知事選挙で利用されていたであろうホームページにも、しっかりとネットカフェ難民を取り巻く問題の対策についても記載されています。

宇都宮けんじの希望の政策!政策Q&A|希望のまち東京をつくる会

青年 でも都営住宅も空き家も、夫婦とか家族向けなんですよね。僕みたいな単身者は、家賃が払えなくなったら、ネットカフェで寝泊まりするしか……。あ、シェアハウスだったら家賃払って住めそう。友だちできたら毎日楽しそうだし。

うつけん そんなドラマみたいなシェアハウスは、あなたがいま住んでいる所と同じか、それ以上の家賃しますって。家賃2・3万円のシェアハウスの中には「脱法ハウス」も多いんですよ。建物の中を2畳くらいずつにパーティングして、人を詰め込むだけ詰め込むような。私が都知事になったら「脱法ハウス」など劣悪な居住環境の物件への規制を進めるとともに、健全なシェアハウスを育成するための条例を制定します。それと「ネットカフェ難民」の相談窓口「TOKYOチャレンジネット(住居喪失不安定就労者支援センター)」を拡充して、居住支援を強化します。

現場で真摯に都政の課題に向き合ってきたことがうかがえます。

また、格差是正を政策として掲げるのは自由ですが、ジャーナリストの鳥越候補のような感覚で本当に鳥越候補が問題を解決できるかは疑問です。

切捨御免!ワタセユウヤの一刀両断!:鳥越俊太郎氏「1%資産家一族の華麗なるファミリーヒストリー」を語れ

1%の資産家「華麗なる一族」鳥越俊太郎氏が訴える貧困・格差の是正

鳥越俊太郎氏は「貧困・格差の是正に向けて、若者への投資を増やすなど、効果的な対策に取り組みます。」と東京都知事選挙の政策として掲げています。

しかし、鳥越俊太郎氏の家系は「福岡県」でも資産家として知られる「鳥越製粉」(東証一部)の創業家一族です。

政治家になる以前の話はあまり大切ではないと思いますし、プライベートでどんな思想を持っていてもかまわないと思います。
しかし、世論を形成し政治にも大きく関わる「ジャーナリスト」として仕事をしていたのであれば、政治家と同様に無責任な発言はするべきではないと考えています。

増田候補の岩手県知事時代、総務大臣時代の議事録から、ファーストクラスや公債費の問題が取り上げられることがありますが、鳥越候補に関しても同様です。
過去の発言と野党統一候補として立候補したことの整合性が取れていないと思われます。

宣言通り、都民の声を聞く機会を作っていただき、野党統一候補としての威厳を見せていただきたいと思います。

それでは本日はこの辺で。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤 陽平

新宿区議会議員(無所属) / 1987年生まれ / 早稲田大学招聘研究員 / グリーンバード新宿チームリーダー / Code for Shinjuku代表 / JPYC株式会社