東京都政よりも、ポストに関心のある与野党都知事候補者たち

特に新宿区などの23区では、都との協議によって自治権が左右されるため、都知事選の結果によっては大きな影響があります。

例えばこんな課題↓
まだ東京都で消耗してるの?都区財政調整制度から脱し「新宿市」になれば自治権拡充かも!?

個人的にもとても関心を持ちながら、共同記者会見を見させていただきました。

宇都宮けんじ氏が降りたことから、都知事選は事実上、与党の増田寛也氏VS野党の鳥越俊太郎氏の一騎打ちに。

実は増田寛也氏は、都知事を目指す前から東京から税を吸い上げる地方へ送金するという政策を推進し、都政に大きな影響を与えていた方で、立候補を表明した当初からネットを中心に「東京都政を担える人物ではない」との指摘がされてきました。

そんな増田氏の岩手県知事時代には、「がんばらない宣言」が注目を集めていました。
自分らしく自治体運営をやっていきたいとおっしゃっていましたが、地方が頑張らないことはありでしょうか。

現在の地方は地方交付税など税金に依存している状態であり、もちろん、都民の財布のお金も使って、ということが前提です。

東京都を弱体化させる政策を行ったところで、地方が自立のためにがんばらなければ、財政的な問題を解決し、地方の魅力のアップに繋がりません。
都民からすれば、本来使えるお金が減ってしまうわけですが、このようなことがなければ、経済的理由で結婚や子そだてを躊躇する人たちの問題を解決できたかもしれません。

ワタセユウヤさんのブログより↓
東京都民に課される毎月45,482円「東京税」を知ってますか?

これまでは、東京都民の暮らしなんてどうだって良いと思っていたことの表れです。

また、今日の「(都政の)混迷に終止符」を掲げている、増田寛也氏は、会見でも政治とカネの問題に終止符を打つとおっしゃっていました。

しかし、本日の共同会見で政治とカネの問題を追及している増田氏はが批判していたファーストクラスを利用していたこと、最近では「ビジネスクラスのシートの質が良くなった」ことに言及され、ファーストクラスから切り替えるということを明らかにされました。
自身の強みについて、「岩手県知事、総務大臣の経験もある、クリーンさを培ってきた。」とおっしゃっていましたが、この人で、本当に大丈夫なんでしょうか?
岩手県知事の任期中には、6,000億の公債費が1兆2,000億円まで膨れ上がったことも話題となっていますが、なぜ実績が評価されたのかは不明です。

舛添氏の問題は「誠実」さを失ったことだと思っています。

後手にまわって第三者を交えながら苦しい言い訳をするのではなく、
「家族で旅行してました。ごめんなさい。」
と最初から話しをするすべきだったと思います。

ほぼ勝利が確定している東京都知事選挙に立候補することが決定した途端、意見がコロコロ変わるような人物は、信用できません。

自民党都連は、分裂選挙を避けるために、議員とその家族が増田寛也氏以外の支援をした場合は除名する、という文書を発表されましたが、組織票をガチガチにかため勝利へ一直線です。

そこで、普段は私も野党に近い立場なのでそちらに期待したいところです。
しかし、昨日の鳥越俊太郎氏の会見を見ましたが、さらなる絶望が待ち受けていました。

東京都の課題や政策に関して質問があっても、
「都政にこれまで興味がなかった。昨日出馬を決めたので知らない。」
と完全にスルー。笑

本日も取って付けたように「がん検診100%」を掲げていましたが、都政への具体的な政策はなし。

「舛添都知事のように辛い思いをして納めた税金を無駄にしたくない」
という思いを語られていましたが、気分で都政の課題は解決しません。

重要なのは、13兆円の予算をどう社会に還元するかという、あるいは今後の財政をどのようにしていくのかということですが、経営手腕がなければファーストクラスで海外視察に行ったり、政治資金で家族旅行をする以上に損失が出ます。

せめてアベノミクスの問題点を指摘することや、増田寛也氏の経営実績が悪いことを取り上げ、それに対抗する東京ファーストな経済政策を打ち出すべきです。

また、合同記者会見で舛添問題の解決策について問われるもマスメディアや、議会がチェックするなど他人任せ。
根本的にブラックボックスな都政についての言及が必要です。

憲法改正がどうちゃら、戦争がどうちゃらと、都政とはほぼ関係のない話が出てくるだけ。
政策もない状態で会見に出してしまう野党の無責任さには呆れてものも言えませんでした。

もちろん、実務経験や政策の知識、あるいは志も不要だと思いますが、記者会見やる以上は選挙に勝つためにもボロを出さないよう短い時間でも準備すべきです。

少し認知度があって気分で立候補しちゃうような人物を「勝てる候補者」として擁立していることは絶望的にも思えますが、左派勢力の戦闘能力そのものを反映した結果だと言えます。

なんだか候補者が一本化して国政の理屈を持ち込み野党共闘で盛り上がっていますが、そんな野党の皆様は、なぜ今表に出ている情報で鳥越俊太郎氏が東京都政の経営ができると思ってるのか理解できません。

ネット上でも宇都宮けんじさんが降りる前に、
「鳥越さん最高!支持します!宇都宮けんじは野党共闘に協力しろ!」
みたいな意見がたくさんありました。
これまでの都政の過ちを繰り返さないために、政策論議を訴える宇都宮けんじ氏の意見の方がよほどまともだと思います。

現時点で与野党の候補者は都政への関心ゼロだと判断しました。

投票日以降に明らかになりますが、二人の魅力的によって一票を投じる人がまだ数百万人単位でいることも、また民主主義です。

実務経験、政策の知識、あるいは志など、それらすべてが完璧な状態で必要だとは思いません。
しかし、これまで東京都が抱える問題を解決し、都民の暮らしを良くするための新しい手法さえ提言できない候補者たちに都知事を任せたいとは、私は思いません。

単に与野党の政治的な戦闘力がそのまま反映されただけですが、多くは東京以外から選出されている議員で占められる国政政党やその支援者からすれば、東京のことなんてどうだって良いということの表れです。

選挙で少しでも悪くない方を選択をしなければなりませんし、当選後にも厳しくチェックをしていくことで、マシなものにしていく必要があります。

舛添都知事の際に問題になった、透明性や情報公開についての盛り上がりに欠けている点が気になります。
本来は自由に投票したいと思っている人でも、情報が届いていないために、本来であれば希望しない候補者に投票してしまうことはもったいないことです。

猪瀬氏、舛添氏、あるいはそれ以前から続く無限ループから脱するためには、根本的な原因の一つとなっているブラックボックス化する都政に切り込み、世論を動かし、組織票を崩壊させるほどのミラクルな一撃が必要です。

私なりにも動いてみたいと思いますが、果たして明日からどんな選挙になるのか。

それでは本日はこの辺で。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤 陽平

新宿区議会議員(無所属) / 1987年生まれ / 早稲田大学招聘研究員 / グリーンバード新宿チームリーダー / Code for Shinjuku代表 / JPYC株式会社