こんばんは。新宿区議会議員の伊藤陽平です。
本日は希望の塾による第四回講義が行われました。
今回も小池百合子塾長が登壇されています。
私も別の政治塾に出席した経験がありますが、塾長クラスの方がこれほど多く登壇されることはなかなかありませんし、第二回講義ではビデオメッセージもありましたが、これほど塾長が動いている塾は珍しいのではないかと思います。
さて、本日は山田吉彦東海大学教授、鈴木亘学習院大学教授、東京大学政策ビジョン研究センター講師 三浦瑠璃氏が登壇されました。
三浦瑠璃さんのようなテレビでご活躍の著名人は、一般の方にも注目されているかと思いますが、本日は、都政の場で特別顧問として待機児童対策等に取り組む鈴木亘教授についてご紹介させていただきます。
若い声を届けることで支援をさらに充実させていきたいと考え、私は文教子ども家庭委員会へ所属させていただき、これまでも様々な議論をさせていただきました。
「保育園落ちた伊藤死ね!!」かもしれないけど、未来に本気です
その中でも、保育園に入りたい方がたくさんいらっしゃる一方で、自治体が保育園をたくさんつくっても問題が解消しない、いわゆる待機児童の問題があります。
政治家や行政も仕事をしているはずなのに、なぜ問題が解決しないのか私も問題意識を抱きましたが、勉強してみようと選んだ一冊が鈴木亘学習院大学教授の「社会保障亡国論」でした。
社会保障亡国論 (講談社現代新書) | 鈴木 亘 |本 | 通販 | Amazon
本日は部分的にご紹介させていただきますが、鈴木教授は、この本の中で、経済学者の視点で、なぜ待機児童が解消しないか、そのビジネスモデルや業界構造について説明されています。
先ほどご紹介した過去のブログでも取り上げてきましたが、保育にかかるお金、特に0歳児保育については、待機児童が問題になった際もあまり事実が浸透していなかったように思います。
0歳児を育てるためには公立の場合、月50万円ほどのお金が必要ですが、子育て世帯の負担額は2万円ほどだったりします。
残りの48万は税金で賄われているということになります。
もちろん、月50万円以上の納税をされている方がたくさんいらっしゃれば問題ありませんが、そうではない場合には莫大な税金の支出が発生します。
一方で共働きの場合は103万円の壁に引っかからないよう、仕事をセーブして月数万円ほど稼ぐことを目指す場合もあるようです。
ごく一部だとは思いますが、こうした背景で多額の税金を投じることは、本当に子どもたちのためになっているとは言えません。
私のところにも、先ほどご説明させていただいたようにほとんどが公費負担であっても数万円の保育料を徴収することに対してさえも高いと厳しいご意見をいただくこともありますし、もし保育料を値上げを宣言する政治家がいれば間違いなく世論から総攻撃を受けることになります。
鈴木教授はコストや業界構造についても言及し、認可保育園が利用者にとって市場原理と乖離した状態でコストパフォーマンスが良すぎるために、供給が追いつかなくなっている現状について説明をされていますが、子育てに熱心な方から大きな批判を浴びることになりました。
私が新宿区議会で提言を行う際にも、鈴木教授のお考えも参考にさせていただいてきました。
まず、子育てバウチャーの検討に関しては議会に入ってすぐに質疑を行いました。
子育ての方法は、家庭によって様々です。
男は仕事、女は子育てというような伝統的だとされる価値観も、もちろん保育園に子どもを預けるという選択肢もあります。
また、夫が子育てをして妻が仕事をするという家庭もあるでしょう。
保育園に預ける場合も、在宅で育てる場合も、どのような方法も、行政が決めるのではなく多様性の一部として認めることが大切だと考えています。
また、保育園に入れた人に対してさらに保育料を減額するなど予算が投じられることもあります。
もちろん、すでにサービスを受けられている方に対する支援をより手厚く支援していくことは大切なことですが、本当に困っている保育園に入れなかった人を支援するために、最低限の必要な支援をしっかりと線引きして、支援の幅を広げられるよう予算の使い方に関しては厳しく追及してまいります。
都政の場では様々な待機児童対策が行われていますが、これで終わりではありません。
まずは不平等な状態にある待機児童をなくすまではエンジンをかけ、その後に鈴木教授がおっしゃるような問題に関して本質的な構造改革を行うということを考えているようでした。
こうした取り組みを注視しながら、新宿区議会での活動に取り組んでまいります。
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私のところにも政治家を志望される方が訪ねてこられますが、
「待機児童を何とかしたい!」
という動機の方もたくさんいらっしゃることがわかりました。
子育て支援に取り組む方法として、保育園落ちた話が話題になったように志を持って声をあげれば社会を動かしていくことができるかもしれません。
一方で、政治家として既存の事業を拡充する(予算を増やす)ことの延長で要望をするだけでは、抜本的な改革はできません。
また、待機している子どもや仕事がしたいお父さん、お母さんたちのために必要な施策をコストとして見るのも気持ちの良いものではないかもしれませんが、最低限度は経営感覚を持って対応することが大切であり、まず鈴木亘教授の「社会保障亡国論」で勉強してみることはオススメです。
子育て支援のみならず、年金・医療・介護などについてもわかりやすく説明されているため、子育て以外に関心のある政治家志望の方もぜひご一読いただければと思います。
それでは本日はこの辺で。