生活保護の闇。行政が電子マネーを「モノ」扱いすればザル制度に

先行きの見通しが不透明な経済状況を鑑み、セーフティネットのさらなる拡充、その代表的制度でもある生活保護制度は、ますます重要な制度として改良していくべきだと考えています。

もちろん、必要な税を集め必要な方に支援を届けるためには、適切な政策が必須です。
そして、政策自体に問題があれば、悪人を生み出すことにつながります。

本日は、生活保護制度の問題点について説明させていただきます。

働くことができて収入が得られる場合、生活保護を受給する理由はありません。
そのため、生活保護を受給するには、収入の申告が必要です。

生活保護を受給しているといっても、収入を得ることができます。
その場合、収入に関しては、行政に申告するが必要があります。

収入を得た場合、一定の金額の控除が認められています。
その控除額を差し引いた部分を生活保護費から減額するという仕組みです。

また、お金以外のモノを得た場合はどうなるのでしょうか。

例えば、パソコンなどの物を誰かにもらったとしても、それは所得にはなりません。
新宿区の場合、お米に関しては金銭的な換算して所得扱いになります。
その線引きは東京都も交え協議をしながら決定しているとのことです。

しかし、昨今のデジタル社会ならではの抜け道が存在します。
それが、電子マネーです。

例えばクラウドソーシングで仕事をする場合、行政に一切知られることなく仕事ができます。
そして、報酬を電子マネーで受け取ることもできてしまいます。
(割引のポイントサービスと決済機能を持つ仮想通貨の違いの線引きに関する議論もありますが、今回はどちらも生活保護制度上で同じ扱いを受けているため違いは考慮しません。)

新宿区に問い合わせをしたところ、
「換金すれば金銭的価値が発生するが、直ちに所得にはならない」
との回答でした。
つまり、電子マネーは「モノ」扱いをされているのです。

これまでは、銀行口座や部屋にある物の増減をチェックすることで、収入が増えたことに気がつくことはある程度できたかもしれません。
しかし、インターネット上で消費したものは、「モノ」としての証拠が表面化することはありません。

米に金銭的価値をつけるのであれば、電子マネーにも金銭的価値を認めることが必要です。
電子マネー受け取りの実態を把握するには、プライバシーとの兼ね合いもありますし、多大な労力が必要となり、一筋縄ではいきません。
現状の生活保護制度が機能しなくなる可能性もあり得ると考えています。

何が収入になるのか、その線引きは東京都の間で協議をしながら決定されています。
東京都にも事実関係を確認し、電子マネーを前提とした議論をすべきだと提言をする機会を設けたいと考えています。

また動きがあれば、改めてブログで情報発信をさせていただきます。

電子マネーに関してネガティブな側面ばかりをお伝えしてきましたが、逆転の発想で、電子マネーによる支給を含めて議論することも生産的だと思います。

もちろん、どの電子マネー(地域通貨なども)を利用するか、プライバシーの問題についてもさらに議論が必要です。
しかし、支出した対象が明確となり、「生活保護費の全額をギャンブルに費やしてしまい、衣食住へのお金が十分に捻出できない」など、不幸なケースを減らすことにもつながると思います。

本当に支援が必要な方に十分な支援を届けるため、福祉の充実を目指し、引き続き課題に取り組んでまいります。

それでは本日はこの辺で。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤 陽平

新宿区議会議員(無所属) / 1987年生まれ / 早稲田大学招聘研究員 / グリーンバード新宿チームリーダー / Code for Shinjuku代表 / JPYC株式会社