ブラック企業の撲滅やワーク・ライフ・バランス支援は精神論では無く経営や従業員への負担軽減が必要

本日の文教子ども家庭常任委員会の議題の一つ、「新宿区ワーク・ライフ・バランス推進優良企業表彰について」についてのご報告です。

ワーク・ライフ・バランスに関して優れた取り組みをしている企業を認定するというものでした。

認定申請企業数は158社、そのうち推進企業認定数は44社とやや厳しめ(?)の審査です。
また、認定分野別内訳は、子育て支援40社、地域活動支援15社、介護支援26社、働きやすい職場づくり44社(推進企業のすべて)でした。

新宿区のコンサルタント派遣事業を活用したコネクシオ株式会社が「ワーク・ライフ・バランス特別賞」、株式会社日本政策金融公庫新宿支店が「ワーク・ライフ・バランスアイデア賞」を受賞しました。
そして、大日本印刷株式会社が、「ワーク・ライフ・”ベスト”バランス賞」を受賞していました。

ワーク・ライフ・バランスへの取り組みとして子育て支援が最も多いですが、働く世代のニーズを考えるとこのような結果になるのでしょう。

そして、158社の応募の中から、最も名誉ある「ワーク・ライフ・バランス推進優良企業」に輝いたのは、、、

「該当なし!」

という衝撃の結果でした。

158社の応募から44社が選定されており、この中で一番良い企業が「優良企業」なんじゃないの?と思えてしまう、突っ込みどころが満載の結果となりました。

努力をされている企業を評価する意味も込め、審査を厳しくしすぎないで、しっかりと受賞者を出していただきたいと思います。

さて、新宿区では、ワーク・ライフ・バランスを推進するコンサルタントの派遣事業を行っています。
しかし、単なる啓発や制度の周知だけではワーク・ライフ・バランスは達成できません。

行政が企業に対して啓発をしても、企業の経営状態が良好で余裕がない限り、従業員のワーク・ライフ・バランス支援に取り組むことはできないからです。

また、自営業の現場であれば、ワークとライフを分けること自体に違和感を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

働くことを選択した人たちの価値観も尊重されるべきであり、政府が介入することや、ワーク・ライフ・バランスを推進する企業のみを優遇することがあれば、おかしなことです。

企業に勤めている人にとっても、自営業者の人にとっても、多様な価値観を認めることが必要です。

例えば、東京都における結婚できない・子どもが産めないという理由の一位は、経済的な理由によるものです。

政府が税を召し上げて子育て支援をしようと計画しても、そもそも結婚や子どもを産む機会を奪うことにつながっています。

そこで、これらの課題を解決するためには、政府が企業や従業員へ税などによる負担を軽減することによる支援であれば、平等かつ有効です。

また、ブラック企業に関しては、コンプライアンス違反を是正することが必要です。

「新宿区ワーク・ライフ・バランス推進優良企業」へ応募することを条件に、融資・利子補給が受けられるという制度があります。

しかしあくまで大切なのは企業の経営であり、書面上だけでの宣言でもってワーク・ライフ・バランスを条件に融資をするということは、目的と手段が逆であり、企業の経営にプラスに働くとは考えにくいです。

最後に、新宿区にも言えることですが、ワーク・ライフ・バランスの支援だけでなく、残業の削減に取り組むことは必要です。

第二回定例会・第三回定例会の2回にわたり、区職員の方々の残業に関して質問をさせていただきました。
部署ごとの残業代は開示されず、現段階では、残業削減によるワーク・ライフ・バランスの確保に関して提案するのは困難な状況でした。
しかし、ぜひ職員のワーク・ライフ・バランスを支援するためにも、8億円以上にもなる残業代の削減に向けて、新宿区には努力をしていただきたく思います。

それでは本日はこの辺で。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤 陽平

新宿区議会議員(無所属) / 1987年生まれ / 早稲田大学招聘研究員 / グリーンバード新宿チームリーダー / Code for Shinjuku代表 / JPYC株式会社