行政主導のシビックテックは存在しない。オープンデータは市民のニーズから。

本日は、東京都と23区のデータ連携について調査をするために、おときた都議と一緒に都庁で担当課にお話をお伺いしてきました。

過去の記事はこちら↓
新宿区にオープンデータ推進を要望します。シビックテックが生む新サービスの市場

その前に、第1回定例会でも、シビックテックやオープンデータについて質問をさせていただきましたので、まずはご報告を。

「テクノロジーを導入し区民参加型のまちへ」
伊藤質問:ITなどの技術を活用し、社会的課題を解決するシビックテックに取り組む意向は。

吉住区長答弁:オープンデータを推進することで「地域課題を区民参加と協働により解決できる仕組みの「シビックテックの活性化」や「地域経済の活性化」が期待できる。オープンデータの公開は、区としての方針を明確化させ、全庁的な体制で取り組んでいく。

オープンデータの認知度が高まってきたこともあり、新宿区でもポジティブにご対応いただけると思っています。
しかし、新宿区も含め、多くの自治体ではこれからどのようにオープンデータやシビックテックを推進していくのかはまだ決まっていません。

現在はオープンデータの重要性を各自治体が認識してきた段階ですが、もう少し話が進展した時に、各自治体で起こることはある程度予想がつきます。
行政が一方的にCSVのデータ形式でファイルを大量に公開していくことです。

例えば、東京都では、27年3月31日からオープンデータに関する取り組みを試験的にスタートしています。

東京都オープンデータ一覧(試行版)|東京都

事業開始当初には約50ファイルしか公開されていませんでしたが、現在では、200ファイル以上まで数が増えています。
東京都は、時代の流れに対応しようと、本当に努力をしてきたと思いました。

しかし、シビックテックは、市民(市区町村民)の意思から出発することが前提です。

例えば、最初に引用したブログでも取り上げた保育園マップは、市民のニーズからスタートし、行政のデータを活用し自分たちで課題解決をしています。
その過程で、23区で統一的な保育園のオープンデータが必要だという話が出てきたわけです。

東京都の取り組みは確かに素晴らしいですが、行政が主導でオープンデータを推進したところで、公開しやすい情報から羅列されていきます。
先ほどのリンク先にあるデータを見ても、ニーズも無く使われないものがたくさん含まれています。

リソースの関係ですべてのデータを公開することはできませんし、オープンデータにも優先順位をつけることが必要です。

また、これから自治体で予算がついて、オープンデータを活用したシビックテックに関するハッカソンが開催されることになるでしょう。
もちろん、手探り状態の行政がハッカソンに取り組むことは、シビックテック業界との接点を作り、現場から課題を発見するという観点では大変意義のあることだと思います。

しかし、行政がシビックテックの事業を行うことが常態化することで、シビックテックとは呼ぶことのできない行政の下請けに変化していきます。

ハッカソンなどイベントを開催する場合にも工夫が必要です。
例えば、課題を自分の自治体に限定するのではなく、都道府県と市区町村が連携するなど、広域で取り組むことで、現在私も問題視している自治体間の差が明確になり、連携の必要性も見えてくるでしょう。

私のスタンスとして、情報公開への予算は適切に計上すべきだと考えています。
シビックテックは、テクノロジーを活用した市民主導のまちづくりで、この流れを推進していくべきです。

しかし、このままいけば、多くの自治体で行政主導で事業が展開されてしまい、一過性のブームで終わってしまう可能性が高いと思います。

これから、誰よりもITを使い倒してきた政治家(?)のおときた都議が東京都議会でオープンデータを取り上げていただくことを期待します。
そして、新宿区では今後も私が先進的な提言を続けてまいります。

それでは良い週末を。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤 陽平

新宿区議会議員(無所属) / 1987年生まれ / 早稲田大学招聘研究員 / グリーンバード新宿チームリーダー / Code for Shinjuku代表 / JPYC株式会社