起業家を中心にベンチャーキャピタルの認知度は高まっています。
しかし、何をしているところかは行政や議会の場では、まだあまり知られていません。
そこで、改めてベンチャーキャピタルについて説明します。
会社の創業期に問題になるのが、「資金」です。
行政でも、「補助金」や、銀行で借入を行う場合に利子を税金で支払う「利子補給」などを通じて、公費投入をする形で資金的な支援が行われています。
実は、同じように民間でも支援が行われています。
それが、民間主導のベンチャーキャピタルによる支援です。
融資の場合は、一般的な契約では連帯保証人として借金を背負う場合があります。
しかし、ベンチャーキャピタルの場合は銀行の融資ではなく株式に対して投資を行うため、基本的には返済義務はありません。
おまけに銀行融資とは異なり、利子などもかかりません。
ではなぜ、ベンチャーキャピタルは投資するのでしょうか。
それは、キャピタル・ゲインを得ることができるからです。
例えば、投資したときに1株を1000円だったものが、企業が成長して1株3000円になれば1株2000円の利益を得ることができます。
この売買差益がキャピタルゲインです。
出資を受けたベンチャー企業は、イグジット(出口)と呼ばれるIPO(上場)やM&A(合併買収や提携)に向けて急成長を目指します。
IPOやM&Aができるほど企業が成長した場合、投資した時の株価の数十倍になっていることもあります。
そのタイミングで株式を売却し、利益を生み出します。
一方で、ベンチャーの世界ではそこまでうまくいく会社は10社に1社あるかどうか。
投資も3割当たれば良いとされていて、リスクが高いことに違いはありません。
そこで、ベンチャーキャピタルでも事業を成功に導くために、様々な資金以外の支援を行っています。
ハンズオン型と言って、ベンチャーキャピタルのメンバーが社外取締役などで企業に入り、実際に現場で事業の支援をする場合があります。
特に実際に起業をして成果を出したキャピタリストによる支援であれば、起業ノウハウや人の紹介が現実的な支援につながります。
また、ベンチャーキャピタルが安価に入居できる創業支援施設を運営していたり、起業を検討している人を対象とした無料セミナーやビジネスプランコンテスト、相談会などを行っている場合もあります。
似たような支援を行政サービスでもみたことがある方もいらっしゃると思います。
新宿区の場合、創業支援施設や補助金、経営相談などのサービスがあります。
すでに、民間のベンチャーキャピタルで様々な支援は行われています。
今後は、民間と差別化をするためにも、公費投入による民間劣化版のような政策ではなく、行政にしかできない独自の政策が必要です。
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行政や議会で、既存の商店街支援の拡大についての議論が行われることはよくありますが、ベンチャー企業に関する議論は皆無です。
日本にはまだまだベンチャーキャピタル自体の数も少ないですが、新宿区内にも有名なベンチャーキャピタルがあります。
新規上場企業の7割はベンチャーキャピタル投資が入っているということにも着目し、起業のインフラを整備すべきでしょう。
本気で産業振興を目指す以上、ベンチャーキャピタルが街にあるという自治体の優位性を活かし、未来に向けた政策が必要だと考えています。
それでは本日はこの辺で。