たった3万利子を得るために3,000万と平均年収700万の職員が作った子ども未来基金は、誰のためだったのか

こんばんは。新宿区議会議員の伊藤陽平です。

今週は事務事業概要の説明があり、教育委員会と子ども家庭部に関するご説明をいただきました。
改めて区の事業をながめていると、区民が抱える課題を解決するどころか、逆に区民に損失を与える事業も多いのではないかと感じているところです。

一例として、これまで何度も問題提起を行なってきた「新宿区子ども未来基金」について、事務事業概要説明の際に改めてご答弁をいただいたので、これまでの経緯を整理させていただきます。

実はこの事業に関して、38議席ある新宿区議会の中で私はただ1人、反対させていただきました。
子どもたちの未来に対する投資は積極的に行なっていくべきだと考えています。
今回も一見素敵な事業に見えますが、なぜ反対をしなければならなかったのかについては、過去のブログに記載させていただきました。

リスクを取らない「新宿区子ども未来基金」は政策として適切ではない

この事業は3000万円の基金を積み立て、子どもたちを支援する自主的な活動を、助成金によってサポートする事業です。
子ども食堂などに支援を行い、寄付も100万円ほど集まるなど、実績があります。

私も子ども食堂へお邪魔したり、報告会へ出席させていただきました。

子ども食堂や学習支援などを助成。新宿区子ども未来基金助成金から自立へ

さて、今年度の予算は325.9万円です。
内訳は300万円は団体への助成、25万9千円が啓発費です。

なぜ、3000万円の基金を積み立てたのに、また今年も予算が必要なのでしょうか。
実は、3000万円はあくまで基金であり、利子を生み出すことを目的としています。
昨年度の実績は、約3万円となりました。
最初に積み立てた3000万円にはタッチせず、毎年新たな公費が投じられる見通しです。

冷静にこの事業のことを考えてみてください。
まず、基金を積み立てるだけではなく、企画をしたり、チラシを作ったり、寄付の営業を行なったり、支援団体とコミュニケーションを取る職員の存在を忘れてはいけません。
職員の平均給与は700万円です。
寄付のお金が100万円集まったとしても、職員人件費などでさらなる支出が発生するため、行政が間に入ることなく団体に直接寄付を行う方が効率が良いと考えられます。
また、納税による支援では、社会的な繋がりをつくることはできませんし、他人任せになってしまうものです。

また、啓発の支出だけで利子の何倍ものお金が出ていきます。
こうした非効率な事業を行うことは、職員に新たな仕事を生み出し、納税者の財布から新たな税金を徴収する理由になってしまいます。

子ども未来基金という事業は、一体誰のためのものだったのでしょうか。

もちろん、子ども食堂等の活動自体は素晴らしいと考えていますが、3000万円の基金を積み立てたことは、ブームに便乗して結局職員の仕事が新たに増えたという役割にしか見えませんし、改めて問題がある事業だったと判断せざるを得ません。

以前のブログにも書かせていただきましたが、社会活動の生態系を破壊するリスクも踏まえ、民間の自主的な活動を応援し、地域センターにある調理室の確保など財政的な支援以外の方法のみを取るべきでした。
3000万の基金を運用して費用対効果があったか疑問が残りますが、今後は寄付や納税をされた方の気持ちを無駄にしないためにも、まともな経営感覚で利益を還元する事業に絞り実施すべきでしょう。

文教子ども家庭委員会に所属させていただき、これまで取り組んできたテーマに継続して挑戦できる貴重な機会をいただきました。

予算を増額することが政治家の仕事のように認識されているため、事業を廃止することが新宿区民のためになるという考え方自体、あまり馴染みがないかもしれません。
しかし、子どもにツケをまわさないために引き続き取り組んでまいります。

それでは本日はこの辺で。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤 陽平

新宿区議会議員(無所属) / 1987年生まれ / 早稲田大学招聘研究員 / グリーンバード新宿チームリーダー / Code for Shinjuku代表 / JPYC株式会社