意外にも電子採決がきっかけ!プロジェクタやタブレット活用の大津市議会のICT化

こんばんは。新宿区議会議員の伊藤陽平です。

先日、大津市議会で議会のICT化について調査を行ったので、ご報告させていただきます。

大津市議会ICT化事業(議場ICT化・タブレット端末導入)│大津市ホームページ

議会ICTと言えば、タブレット端末を導入したペーパレス化が中心です。
しかし、大津市議会は電子採決を最も重要視していました。

議会では、議案の審査という大切な仕事があります。
各議員の議案の賛否を知ることは、有権者にとっても大切なことです。
しかし、採決が起立で行われると、多数決の結果はおおよそわかりますが、誰が賛成したのか反対したのかを後から確認することが難しいです。
住民の方から、大津市議会の議会局へ議案の態度について問い合わせがあった際に、答えることができなかったそうです。

大津市議会では、手元のボタンで議案の賛否を表明します。

新宿区議会では、各議員に議案の賛否を確認して正確に数を把握しています。
しかし新宿区議会の場合、議会だよりで議案の態度を区民のみなさまにお伝えする際には、「自民○」「共産×」のように、会派ごとに公表されています。
私の場合は無所属一人会派なのでそのまま伝わりますが、ほとんどの会派は複数人の議員がいます。
このように会派ごとに公開されているのは、会派拘束により同じ結論を出すことを前提にしているのだと思います。
紙面の都合もあると思いますが、議員個人の賛否を書いた方が本来は丁寧です。

また、大津市議会では本会議場にプロジェクタが設置され、スクリーンを活用しながら質問を行うことができます。

私も代表質問で細かな数字をたくさん詰め込むことがあります。
表やグラフ、あるいは現場の写真でお示ししないと伝えることは困難だと感じていたので、このような取り組みは羨ましいです。
プロジェクタを実際に活用するのは若い議員に集中しそうな気もしますが、
「私もやってみたい!」
と、大津市議会では比較的年齢が上の世代の議員も活用されているそうです。

もちろん資料は電子化され、タブレットで閲覧することもできます。
プロジェクタで投影した資料と同期するため、ICT機器の操作が苦手な議員でも閲覧のみできれば問題ありません。
また、別途グループウェアのサイボウズも導入され、カレンダーやメッセージ機能も利用可能です。
大手に委託したそうで、実現できることはすべて取り入れた印象を受けました。

大津市議会の取り組みは素晴らしいものでした。
また、ICT化において避けられない議会・行政間の連携方法など、気になるテーマについて質疑し、確認できました。

大津市議会のようなフル装備を行うと莫大なコストが発生するため、新宿区議会で全く同じことは望んでいません。
新宿区議会ではスピーディに委員会室にWifiが整備されたり、パソコンの持ち込みが可能になったことだけでも、議会活動が大きく変わったように感じました。
また、新宿区議会で一部取り組みが行われていますが、メールで電子化した資料を送っていただいたり、すでに委員会室ではプロジェクタが利用可能な環境があります。
まずは既存のリソースをどこまで活用できるかが重要です。

今後も素早く必要な範囲で段階的にICT化を進めていけるよう、議会改革に取り組んでまいります。

それでは本日はこの辺で。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤 陽平

新宿区議会議員(無所属) / 1987年生まれ / 早稲田大学招聘研究員 / グリーンバード新宿チームリーダー / Code for Shinjuku代表 / JPYC株式会社