こんばんは。新宿区議会議員の伊藤陽平です。
本日は、こちらのイベントに参加させていただきました。
【学生無料】3/7(火)開催、若者対国会議員ガチンコ討論会「若者の議員を増やすために~被選挙権年齢と供託金の引き下げの必要性~」
被選挙権引き下げ、供託金の廃止を目指したイベントです。
選挙制度改革に携わる、自由民主党逢沢 一郎衆議院議員、民進党奥野 総一郎衆議院議員、公明党中野 洋昌衆議院議員のお三方に政策提言を行なってきました。
私は、選挙経験者である20代議員として若者枠でお招きいただきました。
ガチンコ討論会ということで、若者の政治参加が進む選挙制度とは何かを経験に基づいて提言させていただきました。
日本では、幸いなことに当選の可能性は別として、政治家になるチャンスは誰にでもあります。
資金に関しては何とかなることもありますが、年齢だけは動かせません。
私は29歳ですが、知事選挙や参議院選挙は30歳にならないと立候補でないんですよね。
私は年齢によって政治家になる可否を決まること自体、ナンセンスだと考えています。
高校生がインターンとしてやってくることがありますが、結構びっくりするような提言も出てきたりします。
決して大人に劣ることのない彼ら彼女らが議員になっても、まったく問題ないと認識しています。
さて、本題に入ります。
単に被選挙権年齢を引き下げても本当に若者の政治参加が進むのか、ということは考えなければいけません。
例えば、本日も政治家志望の高校生は全員、大学無償化や給付型奨学金を国会議員に訴えていました。
この提言は概ね、自民党から共産党までポジティブな方向で議論が進んでいます。
提言自体は素晴らしいものですし、こうした光景はメディアでも取り上げられ、若者の意見を代弁するように報道されています。
しかし、今表に出てきている若者の意見は、意識の高い学生の方々の意見が中心です。
そこには一定の偏りもあり、決して若者を代表する意見ではありません。
若者の提言どころか、各政党の重鎮が認め、表に出ている提言に乗っかってしまうことになります。
あえて若者の代表的な意見を申し上げるとすれば、「興味がない」、あるいは「わからない」です。
若者の政治参加に関しては、このラインからスタートしなければ、ますます信頼を失うことになると考えています。
例えば、先日現役の学生と大学に関する議論になりましたが、
「大学の授業はサボってばかり。試験のとき以外に勉強しないから、本当に効果的かは懐疑的。」
というご意見がありました。
確かに、本を読むだけなら、大学の授業は効率が悪いです。
就職活動に有利かどうかという観点であれば、身分社会のような学歴偏重を是正した方が良さそうです。
数年前は私も大学生でしたが、同じような経験をしたことがあります。
テストの時期になると、教室いっぱいに、普段の授業の何倍もの学生が集まることがありました。
「こんなにたくさんいたんですね。寂しいじゃないですか。」
と講師の方がおっしゃっていたことも印象的でした。
誤解のないよう申しますと、私は志願して文教子ども家庭委員会へ所属させていただいていますが、教育をより充実させたい一心で議会活動に取り組んでいます。
あくまで私のポリシーですが、力はあっても現場を知らない大人たちよりも、生の意見を元により優れた提言を打ち出すことに、若者としての価値があると認識しています。
過去のブログもご参考に↓
次に、供託金についてです。
特に国政選挙の場合は、数百万円もの供託金が必要で、これは減額が必要だと考えています。
これも注意しなければいけないのは、国政選挙の場合、本当にお金がかかるのは選挙資金、政治活動資金です。
本日も、国政選挙では数千万活動資金がかかったというお話がありましたが、その資金源は大政党です。
被選挙権が引き下げられ、若者が立候補することになっても、結局は大政党の支援が必要になり、当選後は党議拘束が待っています。
もちろん、当選後は若さ溢れるような議論を行うとは思いますが、場合によってはシニア世代政治家の焼き直しのような政策を掲げて、議会活動を行なう可能性もあります。
一方で地方議会の場合は少し事情が異なります。
区議会議員選挙の供託金は30万円です。
一般的には誰でも支出できる金額で、アルバイトの方でも立候補されていましたし、学生であっても準備可能な範囲です。
また、人材不足を理由に供託金の引き下げが議論されていますが、無投票選挙になることも珍しくない町村議会では供託金はゼロです。
供託金の廃止や引き下げについても賛成ですが、その程度については23区と地方の市では状況が異なることもあり、供託金を減額したり、議員定数を減らしたり、自治体によって決めることが望ましいと考えます。
また、実は冷やかしで立候補をされる方が一定数いらっしゃいます。
ポスター掲示、自動車、選挙公報、その他選挙事務などで供託金以上の公費が投入されているため、冷やかしは防ぐべきです。
そこで、供託金があれば、本気で当選を目指す人以外、立候補しないという理屈があります。
こうした議論も意味のないもので、そもそも公費負担をやめて、公職選挙法の規制を撤廃することで解決することが望ましいと思います。
あまり知られていませんが、地方議会議員選挙ではチラシの配布は禁止されていて、選挙期間中は選挙ポスターを貼ったり、車を回すくらいしかできません
また、事前運動も禁止されていて、選挙期間に入るまでは、立候補の表明ができません。
現職の議員ですらない新人の場合、
「政治に取り組む者ですが…」
と名乗り地域をまわることになります。
私の場合はまさにそうで、ただの怪しい人と思われていたかもしれません。
このような状態では、大政党の看板がなければ当選することは非常に困難だと言えます。
現在は、1枚数円の格安ネットプリントがあったり、ネット選挙の解禁などによって、少ない資金でも選挙が行えるようになってきました。
また、街頭演説はお金もかかりませんし、ポスター貼ったり車をまわすよりも、自分の時間と体力次第で回数を増やしたりできるため効果的です。
国会議員のみなさまには、こうした現場の実態についてご説明させていただきました。
大政党に所属する若者の政治参加ではなく、多様な若者の政治参加を目指していただけるよう、選挙制度改革を進めていただければと思います。
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終わった後に、イベントに参加していた中学生から、
「同じような意見ばかりだった。パネリストには、もっと本当のことを言ってほしかった。」
というご意見をいただきました。
まさにその通りで、政治イベントの難しさも感じました。
信頼を得るためには、言える範囲で本当の議論が必要です。
ガチンコ討論ということもあり、教育への投資を訴える高校生や国会議員のみなさまのご意見を、空気を読まず私はたった一人、批判的な態度を示してしまいました。
今回は、教育についての議論を行う場ではありませんが、別の視点から問題提起をさせていただき、若者の多様性を示せたのではと思います。
私は若者代表な立ち位置ではありませんが、「若者政策日本一を目指す!」と宣言し、議会活動に本気で取り組んできた経緯からも、こうしたイベントに若者枠としてお呼びいただいたことを大変嬉しく思っています。
さらに若者の未来をもっと良くするためにも、考えの異なる若い世代と切磋琢磨していきたいと思います。
私より若い世代が、心の底から政治に関心をお持ちいただくためにも、全力で若者政策にしっかりと取り組んでまいります。
それでは本日はこの辺で。