こんばんは。新宿区議会議員の伊藤陽平です。
宿泊税について質問しました。宿泊税は全国で導入が進んでいます。東京都では宿泊税の見直しに関する意見交換が行われ、日本ホテル協会東京支部からは「取りやすいところから取る」性格が強い税であり「税額を引き上げないこと」が要望されています。
千葉県や千葉市が宿泊税導入を検討しています。
千葉市議会では、コロナ禍からの回復途上にある宿泊事業者への負担増による競争力低下、さらに県が1泊150円を徴収し市町村が上乗せする「千葉モデル」を示しながら、使途や制度について協議や説明が不足していることなどを理由に「慎重な検討と県内市町村との調整を求める意見書」を可決しています。全国的な水準である1泊200円程度を踏まえると、市町村が50円超を上乗せすれば県外より割高となり、観光施策の妨げになる可能性も指摘されています。こうした点から、制度設計や調整不足が課題のようです。
東京都内でも、仮に区が独自に課税を行えば制度は複雑化し負担はさらに大きくなります。自治体には新たな事務や周知のコストが発生し、事業者にも追加的な事務やシステム改修の負担が生じますが、課題の解決に直結するとは限りません。結果的に非効率な制度になるおそれがあり、検討段階から東京都と情報共有を進め、慎重な姿勢を明確にすることが重要だと考えます。
また、オーバーツーリズム対策を理由に増税を正当化する議論もありますが、観光に関する課題は宿泊に限って原因があるわけではありませんし、違法行為や迷惑行為をしていない一般の宿泊利用者にまで一律に負担を求めることには疑問があります。観光に伴う課題があるとしても、納税者は既にその解決のために税を負担しています。本来、自治体が優先すべきは増税ではなく、歳出の効率化や民間との連携による課題解決です。増税ではなく改革によって地域経済を支えることこそ、行政の役割だと考えます。
以下、質問と答弁です。
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伊藤 増税によらない観光振興を基本とし、民間との連携や既存施策の効率化によって財源を確保すべきであり、課題解決との因果関係が明確でないまま新たな負担を求める区独自の宿泊税を導入する必要はないと考えますが、区の見解をお聞かせください。あわせて、東京都に対して基礎自治体とのコミュニケーションをより丁寧に行うことを求めるべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。
総合政策部長 コロナ禍以降、観光客が多く訪れる自治体などを中心に全国的に宿泊税を導入する例が増えていることから、区では他自治体での宿泊税の検討・導入状況などを注視し、情報収集に努めてきたところです。
現時点において、区独自の宿泊税導入の検討は行っておりませんが、一方でインバウンドを含む来街者の増加や、民泊の増加により、騒音、ごみ出しや喫煙ルールの違反など、区民の生活環境が悪化しており、その対策に要する経費の負担を区民のみに求めていくことには課題があると認識しています。
そのため、本年8月に行った令和8年度東京都の施策及び予算に関する特別区長会要望の中で、民泊急増による生活環境悪化への対応として、小規模旅館業や住宅宿泊事業法に基づく届出施設も都の宿泊税の課税対象に加えることや、民泊の監視指導等に関する経費について財政支援を講じることを都へ要望した他、10月には都知事との意見交換も行っており、このような都と区の連携を通じて丁寧なコミュニケーションは図られているものと認識しています。
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現時点では検討していないということですが、増税を求める動きが全国的に広まっています。
引き続き増税に反対し、議会活動に取り組みます。
それでは本日はこの辺で。





