区民が主役の財政への壁。普通は読まない難しい決算・財政資料のはなし

本日は決算特別委員会における約50分の総括質疑でした。
PCの持ち込みが可能なので、
実験的に持参したiPad(タブレット端末)を利用して質疑を行いました。
※写真は傍聴にいらっしゃったAlbert K様からご提供をいただきました。

総括質疑の主なテーマは、
決算・財政への区民の関与、
わかりやすい決算・財政ということで臨みました。

確かに財政に関する資料は、
新宿区のホームページからPDFでダウンロードができる状態です。
しかし、一般の区民からは遠い存在だと感じていました。

私は議員になる以前から
新宿区自治基本条例検証会議で財政に触れる機会がありました。
しかし、平日お勤めの会社員の方であれば、
このような区政参加の機会は限りなくゼロに近いでしょう。
財政に関する情報を読み、議論しようと考える区民が
いったいどれだけいらっしゃるのでしょうか。

そもそも、2,000億円の予算と言われても、
家計と規模が違いすぎることからピンとくるものではありません。
議員として第二回定例会で議決に携わりましたが、
「〜億円の工事をするけど妥当でしょうか?」
と聞かれても専門的で複雑な見積内容を理解することは極めて難しいです。

そこで、わかりやすい情報開示をすることから議論をはじめるべきだと考えました。

一部では新宿区でも導入していますが、
1人あたりの負担や家計に置き換えるなど、
わかりやすく説明する工夫が大切です。

また、数値に正当性があるのか判断をするための指標が常に必要です。
例えば、数億円の工事が入札により実施されている場合は、
入札率などわかりやすい指標を高める努力をすることも有効でしょう。
市場のような競争を発生させることに影響すると考えられます。

他にも本日の質疑でお伺いした話として、
借金をしながら、基金を積み立てる、
つまり、利子を払いながら、利子収入を得るなど、
一般では理解しがたい財政運営がありました。

債権者の権利を守るために、一括償還ができない状況ではありますが、
今後、借金ゼロの区財政を目指していただきたいと思います。

また、行政改革により人件費を圧縮する動きがある一方で、
物件費として委託をしている中に人件費が入っているという事実も初めて知りました。

業者との契約内容により業務委託後には何名が働いているのか、
給与が1人あたりいくらになっているのかなどの数値を把握することができず、
実態としての行政改革の進捗を判断することが難しい状況でした。

議員には、決算特別委員会で質疑をする機会がありますが、
決算書をはじめとする資料は複雑です。
決算書を一読するだけでは十分に理解することが困難な状況で、
果たして新宿区民が主役となって議論できる環境と言えるのでしょうか。

「補助金を出してほしい!」など、
個別の事業に関する要望が区民から出てくることはありますが、
決算・財政の話になると、どうしても距離が遠くなってしまうのです。

しかし、区政に大きなインパクトを持っているのが、
決算・財政というテーマで、
これらに区民がアクセスをすることは、
区民が主役のまちづくりを推進する上で不可欠です。

有権者が知らなければ不利になる情報は
誰にでもわかりやすく公開されていることが必要で、
常にその公開方法に関しても改善されていく環境が必要です。

新宿区自治基本条例には以下のような記述があります。

「区は、区民が主役の自治の実現を図り、区民は、自治の担い手 として地域の課題を解決するものとする。」
「区長は、財政の健全化及び自立的な財政基盤の確立に努めるとともに、公正で公平な視点に立って、効果的かつ効率的な公共サービスの提供に努めるものとする。」

区役所で目の前の事業を円滑にこなすことは大切ですが、
それ以上に、区民が主役となって財政に取り組んでいくことを前提とし、
権力を保有している行政や議会とのパワーバランスを調整することが大切です。

まず、財政に関する区民からいただいたご意見の数を把握し、
目標値を設定し、財政へのアクセス度合いを向上する取り組みが必要です。

また、新宿区財政基本条例を制定し、
新宿区自治基本条例のように、
新宿区財政基本条例を制定し、
検証会議を実施するなどの流れも良いと考えています。

なかなか、難しい分野ではありますが、
決算・財政についても区民が関与できるよう、
引き続き頑張っていきたいと思います。

それでは本日はこの辺で。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤 陽平

新宿区議会議員(無所属) / 1987年生まれ / 早稲田大学招聘研究員 / グリーンバード新宿チームリーダー / Code for Shinjuku代表 / JPYC株式会社