子どもの医療費を無料にしない自治体ってダメですか?

昨日から一泊二日で医療政策を学ぶ合宿に参加してきました。
保険制度など、自治体で審議をする機会がほとんどないテーマも扱われ、非常に勉強になりました。

3月22日の本会議では、国民健康保険特別会計、介護保険特別会計、後期高齢者医療特別会計に関する審議があります。

国で決められていることが多いので、議論の余地がないと思われがちです。
しかし、予算は区の一般会計から繰り入れているため、自治体議員の立場で改めて審査をさせていただきたいと思います。

さて、自治体のレベルで見ると、子どもの医療費助成合戦が繰り広げられています。

(時時刻刻)子ども医療費、助成拡大合戦 過疎の町・大都市(朝日新聞)

新宿区では、15歳まで医療費助成が受けられ、平成26年度の決算実績では10億円でした。
本当に素晴らしい政策だと思うので、これからも広がっていくでしょう。

無料なのは良いのですが、気軽に病院に行く方が多くなってしまうという状況もあります。

現役の看護師の方から、
「病院に来る必要がないお子さんもいる。」
とお話をお伺いしたことがあります。

もちろん、悪意があって気軽に病院に行っているわけではないでしょう。
病院に行くかどうかの線引きがわからないため、
「とりあえず病院に行っとけば安心!」
という方は多いのではないでしょうか。

保護者向けの情報提供や、健康づくりを充実させることも必要です。

人口減少社会では、財源に配慮をしながら意思決定をしなければなりません。
選択肢の一つとして、医療費助成は目玉政策になりますが、財源のない自治体は助成に踏み切れないこともあるでしょう。

医療に限らず、自治体によって課題は千差万別です。

他の自治体に流されることなく、どの事業にいくらお金を投じるかを慎重に判断することで、自治体の個性を発揮することが大切です。

例えば新宿区の場合、子どもの医療費助成に所得制限が無いことから低所得者対策ではありません。

所得制限を設けることで財源を捻出し、一人でも多く待機児童をなくすことを最優先と考え、別の事業へお金を投資する選択肢もあるでしょう。

また、待機児童をなくすということで保育園を増やそうという動きも起こっていますが、区立の0歳児保育には一人約500万/年が投じられていることはあまり知られていません。

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1件あたりの投入額が大きい行政サービス全般に言えますが、サービスが受けられなかった方からすれば、とても不公平な制度です。

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そして、どの事業を行うにしても無料ということではなく、現役世代が財源を負担することは変わりません。
保育園以外の子育て支援の選択肢に関する議論も必要です。

すでに1億円もの世代間格差があると言われている若年層に、これまでの制度を維持し続けるために更なる負担を強いることは避けたいと考えています。

人口減少社会では、各自治体は財源圧縮を目指しながらも、新しい事業に取り組んでいかなければなりません。

賛否両論あると思いますが、これからも数字を明らかにし問題提起をさせていただき、子育て世帯の方を中心に幅広くご意見をお伺いし提言を続けます。

それでは本日はこの辺で。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤 陽平

新宿区議会議員(無所属) / 1987年生まれ / 早稲田大学招聘研究員 / グリーンバード新宿チームリーダー / Code for Shinjuku代表 / JPYC株式会社