地方創生は地方が国(東京)に買収されていく地方衰退へのレール

本日は議員研修の二日目でした。
国政と地方の関係、民間主導の公民連携などについて学べた、充実した研修でした。

その1コマで地方創生と地方議会の役割を学びました。
特に最近話題の地方創生は、「いまがチャンス!」と考えられる一方で、「国が決めて地方が従う時代へ逆戻り」という見方もあります。

新宿区の事業でも、地方創生関連の補助金がもらえるという理由で、様々な事業が行われています。

例えば、地方創生関連の補助金では、このような事業が行われました。

過去のブログをご参考に。
1枚当たり100円お得になる「しんじゅく地域飲食券」。なんと5,700万円もの予算が

23区プレミアム商品券合戦に参戦した結果、費用対効果の悪い事業になってしまったと思います。

地方自治体は、1円でも多くお金を流してもらうために、
「人口を増やす計画を示さなければ、国に消極的だと思われてお金がもらえない。」
と考え、人口を増やす計画、つまり数値を調整していくことになります

地方創生という国に敷かれたレールに乗ってしまい、「数値目標主義」に陥っている状態です。

当たり前のことですが、「地方」と言っても千差万別です。
例えば東京の中でも、人口が約30万人あり予算2000億円の新宿区のような都市や、人口が約200人で予算10億円の青ヶ島村ではまったく異なります。

現場の人間として言わせていただくと、国に定められた数字を良くしてもまちづくりが上手くいくはずがありません。

新宿区職員給与の平均は約700万円ですが、人口ビジョンや総合戦略の数字を調整することにもリソースが投じられています。
そして、国としても地方創生事業を行うための、人件費などの経費がかかっています。
つまり、国と地方の両方で、大量のリソースが地方創生に奪われるわけです。

人口減少社会では、今のやり方では地方衰退の未来が待っています。
国主導の政策にリソースを割くことをやめ、提示されたものとはレベルの違う質の高い政策を苦悩しながらも打ちすことに全力でリソースを費やすべきです。

例えば、新宿区の場合はベンチャーキャピタルの誘致や、公民連携を中心とした税に頼らない民間主導のまちづくりに切り替えるべきでしょう。

そして、国主導の地方創生を行う際には、筆頭株主である東京に買収されている状況と考えることもできます。
都市部、地方問わず自治権確立のためにも、この流れはお互いのためになりません。

今日の講義にも出てきましたが、
「若者が、地方から出生率が低い東京へ吸収されていくブラックホール減少が起きている。東京への流出を防ぐために地方にはダムが必要だ。」
という東京VS地方の不毛な対立を生み出すことになります。

都民の立場からすれば、地方に多額の送金をしている状況もあります。

以前もご紹介したワタセユウヤさんのブログもご参考に。
東京都民に課される毎月45,482円「東京税」を知ってますか?

地域が経済的に自立をすることで、都民が結婚できない一番の理由となっている「経済的な理由」という根本的な問題解決にもつながります。
そして、地方も国の顔色を伺うことなく自分たちの財布で市民主導のまちづくりが可能になります。

この流れを変えていけるのは東京なのかもしれません。
自治意識の高い地方と提携し、地方自治に反する「地方買収」という国の事業を改めなければなりません。

地方創生は地方自治と完全に逆行するもので、地方衰退へのレールだったのです。

地方政府は国の下部機関ではありませんし、自立した立法権であり、行政権を持ち、主権者は住民です。

もちろん日々熱心に仕事に取り組まれている行政の現場では、国の制度を活用することは素晴らしいことです。
しかし、私たち新宿区議会議員は、国や所属政党のレールに縛られず、自由な立場で区民のために提言をしていくことが求められています。

閉会中に学んだことを私なりにまとめ、新宿区や他会派の議員の皆さまへもご理解いただけるよう、積極的に議会活動に取り組んでまいります。

それでは本日はこの辺で。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤 陽平

新宿区議会議員(無所属) / 1987年生まれ / 早稲田大学招聘研究員 / グリーンバード新宿チームリーダー / Code for Shinjuku代表 / JPYC株式会社