昨年も出席したミーゼス読書会のため、本日は長野県の原村に行ってきました。
日本ではほとんど知られていませんが、ミーゼスとはオーストリア学派の経済学者です。
本イベントに公会計の分野で有名な吉田寛先生にご紹介いただきましたが、実は先生が先月日本政策学校で講義をされそこでも宣伝をされていたこともあり、なんと偶然日本政策学校の同期の方ともばったり!
講師の村田稔雄先生(92歳!)は、ミーゼスの日本人唯一の弟子で、数多くの著作を翻訳をされてきました。
本日は、私の半生というテーマでお話をいただきました。
本日の写真にも出てきている(借り物)「ヒューマン・アクション」という名著がありますが、中古でしか手に入らずなんと1冊31000円まで高騰中。
購入することは決めているのですが、なかなかAmazonでポチるのを躊躇しています。
来年こそは購入し読破し、読書会で村田先生のサインをいただければと思います。
「ヒューマン・アクション」は値段が高いだけでなく、本自体も分厚くてなかなか手が出せません。
しかし、吉田先生にご尽力いただき、また村田先生のご厚意もあり「自由への決断」は電子書籍化され、無料で読むことができます。
ぜひご一読いただければと思います。
読書会の第一部では、ウエルタ・デ・ソトの「通貨・銀行信用・経済循環」を翻訳された蔵研也先生による講義がありました。
普通はあまり考えることもありませんが、銀行の特権についてがテーマです。
まず、前提として寄託物(借りたもの)に関して、勝手に使うことは横領と言われます。
例えば、旅行に行ったときにフロントに荷物を預けることもあるでしょう。
ホテル側が勝手に財布を抜き取り勝手にお酒を飲んでしまえば明らかに問題です。
また、お金をパチンコに突っ込んで利益をあげ、その後財布に同額戻すことになれば預けた人に損はありませんが、これも何だかおかしな感じがしますよね。
しかし、なぜだか銀行に関しては、借りたお金を別の人に貸し出す横領が行われ、利益を得るという特権が政府により認められているのです。
預けている側は、いつでもお金を引き出すことができますが、預けられたお金は流用されているので、預金の総額が銀行に準備されているわけではありません。
日銀の場合、預金は1%をのぞいて貸し出せることになっていますが、なんと預金の100倍を貸し出すことができます。
この過程で銀行に預けたお金は膨張することになりますが、これがいわゆる信用創造と呼ばれるものです。
しかし、実現不可能な投資が誘発され、それが失敗し、信用不安が発生します。
その後、膨張したお金は縮小し、経済危機が発生するというのです。
この信用創造という特権を廃止して成長経済を取り戻すというのが、第一部の結論でした。
ご紹介させていただいた話はごく一部ではありますが、蔵先生が翻訳された「通貨・銀行信用・経済循環」では、世の中では当たり前に思われている銀行の制度が政府により認められた特権であり、そこに問題があることを理論的に説明されています。
ご興味がある方はぜひご一読いただければと思います。
通貨・銀行信用・経済循環 : ヘスース・ウエルタ・デ・ソト, 蔵 研也 : 本 : Amazon
蔵先生のお話をお伺いするまで、銀行や通貨について深く考える機会はありませんでした。
本題とは関係ありませんが、最近ではビットコインなどの仮想通貨が注目されています。
そもそも銀行という制度を想定していないため、信用創造が起こりづらい特徴があり、不正を行うこともできません。
既存の通貨にどのように影響を与えるのか、興味深い社会実験になると思うので、これから注目していきたいと思います。
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経済学のインプットをする際にはイデオロギーにとらわれず広く学ぶことが重要だと考えています。
しかし政策について学ぼうとしても、社会主義的なものばかりで自由主義について学べる場所はほとんどありません。
大学では、マルクスやケインズに関する話が多く、自由経済に関するところではフリードマンの名前が少し出てきたくらいです。
ハイエクやミーゼスなどオーストリア学派については一切教わることはありませんでした。
議会での議論の場合にも、主要政党の政策は化粧をして異なる見せ方にしている場合もありますが、ほとんどが同じ方向性で政策が打ち出されています。
実際に、新宿区議会の議決の場でも意見が割れることはほとんどありません。
偏った議論にならないよう、自由経済に関する勉強会が拡大していくことが大切だと思います。
来年のミーゼス読書会も楽しみにしてます。
それでは本日はこの辺で。