こんばんは。新宿区議会議員の伊藤陽平です。
9月から議会が始まりますが、現在質問づくりに着手をしています。
今回のテーマは、電子申請の推進です。
先日の高校生インターンの際にも話題にあがりましたが、
「今時、保育園等の申請書を手書きするのはおかしい。」
というご意見はよくいだたいています。
新宿区でも一部では電子申請が行われています。
電子政府で有名なエストニアのように、結婚、離婚、不動産以外のことは全部オンライン上で手続きができる事例もあり、日本は完全に遅れてしまっているとしか言いようがありません。
保育園に限らず各事業は区職員により実態調査が行われることもあるため、いきなりAIで100%自動化するのは難しいことは理解しています。
また、マイナンバーが導入されたことで新宿区ではシステム改修も行われていますが、場合によっては莫大なコストが発生する場合もあるため、今のままで良いというご意見もあるでしょう。
しかし、少しの工夫があれば、コストをかけずに紙申請書で生じる負担は軽減できると確信しています。
なぜ電子申請の方が優れているかと言えば、時間と場所に関係なく利用できたり、キーボードの方がスピードも速く、書き損じて最初から書き直すようなことがないからです。
特に長文で誤字があった場合、書き直しに倍以上のリソースを割くこともあるでしょう。
また、手書き以外の手段が選択できるようになるのは、バリアフリーの観点でもメリットがあると言えます。
そこで、電子申請の良さを踏まえて、予算不要で何かできることがないか考えてみました。
妄想するだけではいけないと思い、必要なリソースや工数を調べるため、今日は実際にプログラムを書き、プロトタイプを作ってみました。
行政に提出する申請書は、雛形がPDFで公開されていることが多いです。
この場合、PDFを印刷して手書きをするか、PDFに文字を入力できる専用のソフトやWebサービスを使用することになると思います。
PDFescape – Free PDF Editor & Free PDF Form Filler
専用ソフトやサービスを使う場合も、文字を入力する箇所を自分で指定したり、意外と面倒でした。
そこで、より簡単な仕組みを考えてみました。
こちらのWebアプリケーションを使えば、フォームに入力するだけで自動的に申請書のPDFが生成されます。
※あくまでもデモサイトです。いち地方議員の政務活動として、雑なところはご容赦ください。
保育園の申請書は記入欄が多く大変だったので、とりあえず高速でデモが作れそうだった「新宿区ワーク・ライフ・バランス推進企業認定申請書」で挑戦してみました。
新宿区ワーク・ライフ・バランス推進企業認定申請書PDF(新宿区HP)
項目ごとに割り当てられた面積に対して文字数、フォントサイズをどうするのかなど細かい調整の余地はありますが、色々と試してきたところ、申請書の作成がかなり楽になったように感じました。
今後例えば、管理画面からPDFをアップロードしてマウスでドラッグして領域を選択するだけでフォームを生成するところまで作り込めば、私一人では難しいですが、ニーズ次第では民間の企業や団体が擬似電子申請のポータルサイトを作るのもアリなのでは妄想しています。
このシステム以上にベストなものは、もちろん他にもたくさんあると思います。
デモアプリくらいなら、まずは作ってみて、みなさんのご意見を伺いたいと思いました。
電子政府や電子申請を推進する上で、必要な実務的なナレッジを蓄積していきます。
また、デジタルネイティブ世代の地方議員と呼ばれても、活動は議会が中心で、技術が専門ではありません。
民間の目線で本格的に進めるためには、エンジニアの方々のご協力が不可欠です。
ぜひご興味のある方は、お声がけいただければと思います。
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まずは手を動かしてみたことで、質問の方向性も定まりました。
さて、肝心の議会での質問ですが、
「PDFでの申請書の公開ができているものは、予算もかからないのでWordやExcelのファイルもアップをお願いします。」
ということを、行政にお願いする落としどころにしたいと考えています。
実際に、先ほどの新宿区ワーク・ライフ・バランス推進企業認定申請書はExcelでも公開されています。
新宿区ワーク・ライフ・バランス推進企業認定申請書Excel(新宿区HP)
また、PDFのみで書類が公開されている場合もありますが、最初からWordやExcelを想定した作りにしておくことが望ましいと考えています。
また、根本的な問題として、印鑑を廃止しないことには紙申請書の手間は残ってしまいます。
確かに印鑑の手軽さはありますが、例えば3Dプリンタを使えば簡単に複製できてしまう世の中です。
従来通りの信用性を担保する役割を担えるものだとは思えません。
そして、ブロックチェーンの可能性にも目を向けることは、自治体レベルでも必要です。
このような社会の動向も整理した上で、電子申請の議論を進めてまいります。
質問に対する答弁は、またご報告させていただきます。
それでは本日はこの辺で。