名古屋市議会の報酬1454万円(655万円アップ)も選択肢の一つ!?身を切る改革を超える時

こちらのニュースが話題になっています。

名古屋市議会 「報酬増」条例案可決 市長、再議権行使へ

暫定的に年800万円となっている名古屋市議の報酬を年1454万円に増やす条例案が8日、市議会本会議で自民、民主、公明の3会派の賛成多数で可決された。報酬半減を公約としていた河村たかし市長は拒否権にあたる再議権を行使する方針を明らかにしたが、3会派の議席は3分の2を占め再可決される見通し。河村市長は市議会の解散請求(リコール)も視野に入れた署名活動に協力するなど抗戦の構えだ。

可決された条例は、市議報酬を元に戻した上で15%カットする内容。同時提案の議員定数(75)を7減する条例案も可決された。

まず、最初にお断りをしておきます。
私は「身を切る改革」を打ち出した議員ではありません。
私の立場からすれば、最終的に名古屋市民のためになるのであれば、議員報酬の増額をすることも選択肢の一つだと考えます。

その理由についてお話します。

まず、こちらの記事より↓
議員報酬増額問題の核心(BLOGOS)

名古屋市の本来の議員報酬は月額99万円で、期末手当(ボーナス)を含む年収は1633万円。河村市長はこれを「市民並みに引き下げる」として月額50万円、年収ベースで800万円に減らしたのです。

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議員報酬等について検討する「議会改革推進協議会」では、引き上げの根拠として「他都市と比べて報酬額が低すぎる」とか「生活が苦しい」といった議論が出ていました。しかし、その状況は5年前と変わりません。今になって引き上げる根拠とはいえません。

一度減額した報酬を、再度引き上げるというものです。
引き上げ後の報酬は、減額前の15%カットになっています。
7議席の定数削減をしても、議員報酬の総額は現時点より上がります。

減額後、生活が苦しいという話も出ていますが。。

あれ、報酬が800万円もあって、「生活が苦しい」と議員が主張するのはおかしいと思いませんか?

現職の私が真実を申し上げます。
議員は高い報酬をもらっているように思われますが、報酬があっても「生活が苦しい」政治家は地方にはたくさんいます。
その理由の多くは議会活動ではなく、政治活動(選挙)にお金がかかっているからです。

議会活動については過去のブログで詳しく解説しています↓
地方議員の仕事を解説!非公開会議から本会議での採決まで

本当の議会活動は、一般公開されている本会議や委員会などの会議、そして事前に行われる役所や他会派議員との打ち合わせくらいです。

実はそれ以外の仕事は、特に仕事として決められているわけではありません。
SNSなどで政治家と繋がっている方は、朝から晩まで議会以外の場所で忙しそうに活動をしている様子を見ることもあるでしょう。

これらは、議会活動でしょうか。
多くの場合、政治活動(選挙)ではないかと思われます。

私は地域回りはやめましたが、地域のあいさつまわりをすれば朝から深夜まであちこちを回ることになり、新年会や忘年会の時期は飲み会代に月数十万円吹っ飛びます。
議員報酬が高額であっても、手元にお金が残らないのが実態です。

贅沢な暮らしをしている実感もなければ、本当に生活が苦しい議員もいます。

もちろん、議会活動以外の時間に、調査研究をしたり、自発的に問題解決に取り組んでいらっしゃる方もたくさんいます。
ただ、このような活動は必ずしも票に結びつかないため、政治活動(選挙)を優先している方がいらっしゃることも事実です。

一方で、議員定数や報酬に関しては正解がありません。
直接民主主義が中心の地方自治体であれば、報酬を下げて議員定数を増やすことで議会に多様性が生まれ、より多くの市民の声が届くようになります。

また、東京都知事の年収は約2000万円ですが、東京都が十数兆円の予算規模だということを考慮すれば、私は高いとは思いません。
極端な話、年収を1億円まで引き上げ、経営能力が高いプロを採用しても費用対効果が出ることもあると思います。

私は、新宿区議会の議員報酬の減額に賛成です。
また、あまり知られていませんが、平均給与は700万、総額で250億ほど支出してる職員の人件費は財政に占める割合が非常に大きいです。
これまで何度も質問し、本会議の採決でもただ一人、議員報酬や職員人件費増額に関する全議案に反対を表明してきました。

平均約700万円の新宿区職員給与増額へ!任期中は減額(増額凍結)に賛成

将来世代の負担を減らすために投資は必要です。
しかし、議員報酬を増額した場合、選挙区回りの飲み代に支出が増えることはあっても、それは広く区民のためになることではありません。
公務員給与に関しても、彼らの生活が豊かになる裏側では、納税者からの所得移転があることを忘れてはいけません。

先行きが不透明な財政状況を鑑み、本当に効果があることに投資をすべきでしょう。

そして、政治家たちを選んでいる多くの区民の意識を変えることも必要です。

議員を選んだ区民の意思なので大切にしなければなりません。
しかし、本音を申し上げると、現在の議員報酬に賛成している政治家の支持者たちは、会合に参加している議員たちの会費の原資は税金だと認識するべきです。
そして、間接的に議員報酬を増額する環境をなくしていくべき
だと思います。

少なくとも基礎自治体の議員は、市民と協力し、議員を経済的に独立させることが必要です。

例えば、地方議員は兼業が認められています。
しかし、朝から晩まで会合に追われていては兼業などできませんので、支援者は地域回りよりも民間での仕事を優先させるべきです。

プロの政治家として専業させたいのであれば、広く納税者から集めた税を原資にするのではなく、その政治家を必要としている人たちが寄付して支えることもできます。

また、会合以外にも、議会では原稿を音読しているような無駄な会議も多いです。
会議を減らしてインターネットで対応すれば、コストの圧縮につながります。
その上で土日や夜間議会を推進すれば、平日仕事をすることもできます。

議員もお金のことは隠さず、市民が話し合いに参加する場をもっと増やし、行政や議会に意見をぶつけられるようにしていかなければ状況は変わりません。
様々な意見があると思いますが、ぜひお近くの議員と報酬や公務員給与に関する意見交換をしてみてください。

それでは本日はこの辺で。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤 陽平

新宿区議会議員(無所属) / 1987年生まれ / 早稲田大学招聘研究員 / グリーンバード新宿チームリーダー / Code for Shinjuku代表 / JPYC株式会社