こんばんは。新宿区議会議員の伊藤陽平です。
昨日に引き続き、夕張市の視察でした。
非常にタイムリーですが、ネットでも夕張市に関する記事が話題になっていました。
7月19日(水)発売、NHKスペシャル取材班「縮小ニッポンの衝撃」(講談社現代新書)の一部を読むことができます。
→ 夕張市破綻から10年「衝撃のその後」若者は去り、税金は上がり続け… https://t.co/4w2VnZ1zr3— 夕張市長 鈴木直道 (@suzukinaomichi) 2017年7月17日
また、昨日ご紹介させていただいたおときた駿東京都議会議員、そしてユースデモクラシー推進機構のみなさまも、以前夕張市を視察されています。
おときた駿東京都議会議員のブログはこちら。
- 先人の蓄積を使い、後世に負担を残す…「エネルギー」の罪深さ | 東京都議会議員 おときた駿 公式サイト
- 「燃えるゴミ」が燃やせない町・夕張に、暗い日本の未来をみた | 東京都議会議員 おときた駿 公式サイト
- 廃校体育館でビニール栽培…もはや単一学級しかない街・夕張で教育の未来を考える
ユースデモクラシー推進機構のブログはこちら。
夕張市の視察について、私からもご報告させていただきます。
夕張市は東京23区より広いですが、人口は8600人です。
ピークの時の12万人から、およそ1/13程度となりました。
もともと夕張市は、石炭で栄えた街でした。
しかし、国策により石油が台頭してくると、雇用を担っていた鉱山が相次いで閉山を余儀なくされました。
それまでは、石炭産業が行政以上の影響力を持ち、雇用、住居、あるいは娯楽などを生み出してきました。
閉山後はお仕事をされる方の住宅を市が買い取り、後述する遊園地などによって新たな雇用を生み出すなど、市への影響力は石炭産業から行政へと変わっていきました。
印象に残ったのは、廃墟となった遊園地でした。
夕張市は、「炭鉱から観光へ」というキャッチフレーズで、観光を主力産業にしていくことにしました。
炭鉱が廃山となることで多くの失業者が出てしまうため、それを遊園地の運営で吸収するという目的もありました。
しかし、最終的には74億もの負債を抱えることになりました。
公費を投入してきたことから、不採算の状態でも維持してきた結果です。
その後、遊園地に用いられていた金属は、企業によって中国に売却されたりと、その跡地からはかつての賑わいが想像できない状態になっていました。
また、街中をバスで移動しましたが、およそ50%が空き家状態のエリアもあり、窓ガラスが割れた公営住宅、シャッターの閉まった老朽化した店舗などが目立ちました。
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新たな取り組みについても少しだけご紹介させていただきます。
現在は、市営住宅を建設することでコンパクトシティが推進されています。
23区ほどの面積で、人口減少し8600人となった市民に行政サービスを提供し続けるためには、公共施設もたくさん必要となり、効率も悪く莫大なコストがかかるため、検討されるべきことです。
アパートのような集合住宅の場合、国からの支援が受けることができますが、新たな事業を自力で行うことはできないため、市長のリーダーシップのもと取捨選択をしながら、国からお金を引っ張ってくることが、今できる最大限の改革になっています。
以前、撤退する民間企業から夕張市が買い取ったホテル等がありました。
それを今年、中国企業に売却したとのことで、中国資本の受け入れも積極的に行なっているそうです。
外資に抵抗のある方もいらっしゃると思います。
しかし、外資だからこそ外国人観光客とのコミュニケーションもうまくとれていて、サービスも最適化されており、外国人観光客が増加している、と地元の方からお話を伺いました。
地元からの評判も良いそうです。
夕張市の場合は追い詰められていたからこその意思決定ですが、自治体が予算を投じられなくなった施設に対する外資の投資は。選択肢の一つとして参考になります。
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夕張市政について、厚谷 司夕張市議会議長からご説明をいただき、議会の取り組みについてもお話を伺いました。
お隣の栗山町は議会基本条例で大変有名です。
夕張市議会と栗山町議会で包括連携協定が締結されています。
栗山町議会の議会基本条例は、過去のブログもご参考に。
夢の議会基本条例を作って、議員間討議、文書質問、さらに議員報酬も住民で決めちゃえ!?
例えば、夕張市議会は研修の予算も十分にないそうで、栗山町議会が研修を行う際に、夕張市議の方々も同席される、といった取り組みが行われているそうです。
議会間連携はほとんど行われていませんが、財政的に厳しい議会を効率的に運営するためにも、リソースをシェアすることは有効です。
また、若い世代が盛り上げようと、非常に努力をされてきました。
20代議員の今川和哉議員ともお話させていただく機会がありました。
夕張市議会議員今川和哉オフィシャル | 夕張市の法律専門家、移住促進に取り組んでいます!
司法書士の資格をお持ちで、夕張市で唯一の不動産会社を立ち上げられた方です。
夕張市議会議員の手取りは減額されて、現在は16万9000円。
政務活動費がないため、経費も議員報酬から捻出することになりますが、都内の議員よりも経費がかかることがあります。
例えば、東京都内のように研修が頻繁に開催されるわけでもありませんので、参加するためには交通費もかかります、
経費が20万ほどかかる月もあるそうです。
司法書士や民間企業でお仕事をされていた時の方がが収入は多かったそうです。
今川市議は、市議の報酬は全く気にせず、夕張のためを思う一心で、
「報酬額を見ないで立候補した。」
とおっしゃっていました。
また、議会活動について、
「夕張市議会は政策提言を行なっても1円も予算がつかない。だからお金を使わないように工夫している。」
ともお話をされていました。
追い込まれているからこそのスタンスだと思いますが、全国の行政や議会にも必要な姿勢だと思います。
夕張市についてネガティブなこともご紹介させていただきましたが、例えば夕張メロンなど、認知度は非常に高いです。
食事も美味しく、冬にはスキーもできて、自然も豊かで、魅力に溢れた自治体です。
若い世代を中心に、夕張市の未来が大きく変わっていくことを期待しています。
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夕張市が、かつて炭鉱で栄えたのは、政治によってでした。
そして過剰な公費投入を繰り返し収支が悪化し、粉飾や不採算事業を行なったのも政治です。
改めて政治の持つインパクトを実感する機会となりました。
夕張市は東京23区ほどの面積でありながら、小中学校が統廃合の対象となり、それぞれ一校しかありません。
行政サービスが無くなると生活が大きく変わってしまうことを感じました。
夕張市は、財政再建団体として国の管理下にあるため、自治が制限されている状況です。
そして夕張市に限らず、多くの地方自治体では地方交付税など国に依存していますし、特別区の場合も東京都の影響力もあり、自治が十分に機能しているとは言えません。
今でも各自治体では、議会で要望合戦が繰り広げられ、予算の増加に歯止めがかからない状況です。
夕張市のように、財政破綻により国の管理下に入って厳しい状況におかれて、やっと事業の見直しなど現実的な改革が行われています。
そして、夕張市は追い込まれたが故に、抵抗も多いであろう外資の受け入れや、行政サービスの削減、税金や利用料の値上げを実行していますが、すべての自治体が他人事でなく、常時議論し、実行していかなければならないことです。
新宿区でも、夕張市に負けないくらい本気度の高い改革を常に実行できるよう、議会活動に取り組んでまいります。
それでは本日はこの辺で。