行政評価は指標の設定も適当すぎ。計画以下事業を無理して拡充するのではなく、ポジティブに損切りの機会へ

こんばんは。新宿区議会議員の伊藤陽平です。

昨日の自治・行財政・議会改革等特別委員会では、行政評価(内部評価)について議論を行いましたので、概要をご報告させていただきます。

私からは、指標の設定があまりにもおかしなことや、行政評価により計画以下となった事業こそポジティブに捉えるべきだということをお話させていただきました。
文教子ども家庭委員会に所属しているので、ワーク・ライフ・バランスの推進(都はライフ・ワーク・バランスですが区の表記で)に関する評価をもとに、過去の議論も含めてお伝えできればと思います。

まず、本事業は「計画以下」と評価されましたが、その理由は以下の通りです。

ワーク・ライフ・バランスセミナーを予定どおり実施しました。また、優良企業表彰は目標どおり2社を表彰し、区民や事業者に向け、啓発と取り組み事例の紹介を行いました。しかし、コンサルタントの派遣回数の伸び悩みや目的(目標水準)の達成度が目標値を下回ったことから、計画以下と評価します。しかし、認定企業数、ステップアップした企業数ともに目標値には達成していないものの、申請中の企業数も含めると平成29年度末の目標値の達成を見込める数となっています。また、平成28年度中にステップアップした企業はないものの、コンサルティングやセミナー等への参加を通じて企業が取組を推進しているケースがあり、今後のステップアップに向けて支援していきます。

こうした事業は啓発が重要で、特にトップダウンで浸透させることがポイントになります。
一方で、現状の新宿区としての取り組みだけでの周知は難しく、十分に浸透させるにはハードルがありますし、今後は国や都との連携が必要だと考えています。

私も民間で仕事をしていた経験がありますが、その視点で感じ他のは、ワーク・ライフ・バランスを考えるには企業の経営状態が影響するということです。

過去のブログもご参考に。

ブラック企業の撲滅やワーク・ライフ・バランス支援は精神論では無く経営や従業員への負担軽減が必要

実際に今年表彰されたのは、成長している情報通信分野の企業のみです。

また、先ほど評価の理由になっていた優良企業表彰は目標どおり2社を表彰し、区民や事業者に向け、啓発と取り組み事例の紹介を行いました。」という表記がありましたが、これは全くおかしな話です。

表彰式の際に配布された資料をご覧ください。

実は2017年だけでなく、2年連続で該当企業なし。
2社しか応募していなければ納得できますが、対象となる企業はたくさんあります。
スポーツのイベントで金、銀、銅メダルとあって、金メダルがないようなもので、どうみてもおかしいです。
文教子ども家庭員会でも議論が行われてきたところですが、改善をするどころか、予定位どおり2社を発表したから問題ないと結論を出すことは、賞を制定できる新宿区の立場からするとあり得ないと思いますし、行政評価としては成立していないものと考えています。

また、内部評価をもとに、区民を交えた外部評価を行うことになりますが、このような評価理由が書いてあれば、問題ないと誤解されることになる可能性があります。
外部評価委員会では、内部評価に引っ張られないよう、当時の資料や背景も踏まえて丁寧に説明いただくよう要望をいたしました。

今後の取り組み方針は以下のようになっています。

平成28年度に実施した、「ワーク・ライフ・バランスに関する企業及び従業員の意識実態調査アンケート」で把握した企業の現状やニーズを元に、特に中小企業向けの支援を強化していきます。またワーク・ライフ・バランスに関する情報や制度の周知のために企業との接点が多い関係機関とのより一層の協働・連携を強化し、効果的な情報発信を行ってきます。

もちろん、私もライフ・ワーク・バランスについては大切なことだと考えていますし、初めての議会でも職員のワーク・ライフ・バランスについて代表質問を行いました。

そして、行政評価で計画以下になっている事業については、さらに力を入れて目標を達成していくことになります。
しかし、それが必ずしも適切であるとは限りません。
なぜなら、行政の事業にニーズがない、あるいは本来は民間が取り組むべき課題を無理に取り組んでいるために計画以下になってしまっている場合があるからです。

代表質問を行なったのは2年以上前ですが、ワーク・ライフ・バランスについては、民間企業の方がフレックスタイムやテレワークなどの取り組みが一般化しており、むしろ行政は学ばせていただく立場です。
時に、行政はどんな社会的課題にも対応できる万能な存在だと思われてしまうこともありますが、逆に問題を増やすことに繋がる場合もあります。
税金を徴収して、行政がワーク。ライフ・バランスを充実させることも大切ですが、一方で減税を行い民間企業が自主的に使えるお金を増やすことで、生活が豊かになると言う選択肢もあるでしょう。

以上の点を踏まえて、計画を達成できないと言うことをポジティブに捉えることもご検討いただけるよう要望させていただきました。

もちろん、行政評価自体は必要なもので、新宿区や新宿区議会でも活発な議論が行われてきました。
内部評価と外部評価を行い、インターネット上で情報公開など、まだ実施できていない自治体も多いもので、他区と比べて先進的な取り組みを行っている点は評価できるものです。

行政評価の精度がさらに高まり、区民の利益として還元されるよう、引き続き提言を続けてまいります。

それでは本日はこの辺です。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤 陽平

新宿区議会議員(無所属) / 1987年生まれ / 早稲田大学招聘研究員 / グリーンバード新宿チームリーダー / Code for Shinjuku代表 / JPYC株式会社