成長無き産業政策は不要。ベンチャー政策で未来へ投資

明日の議会では、産業政策・ベンチャー政策の質問を予定しております。

何度かお話をさせていただきましたが、
基本的にベンチャー企業に補助金を出したり、
区営のファンドを持つ必要は無いと考えています。

最初にすべきことは、成長産業・ベンチャー企業の実態把握です。

しかし、実態の把握は難しく、
「ベンチャー企業を行政で定義することはできない。」
「情報通信関連産業のことではないのか。」
とお考えの方もたくさんいらっしゃると思います。

最近では、ベンチャー企業は情報通関連産業以外でも発展しています。
これまでイノベーションと言えば、技術的な革新を指す傾向がありましたが、
近年では価値的な革新に取り組む企業もベンチャー企業とされています。

例えば、iPhoneの登場時期には、
タッチパネル搭載の小型情報通信端末は既に存在していました。
もちろん、技術的に優れているということもありますが、
斬新なインターフェイス・アプリケーション・ブランディングにより、
従来の携帯電話の価値を一新し、
スマートフォン市場を生み出したことに価値があるのではないでしょうか。

新しい価値を生み出す企業もベンチャー企業と定義されるような昨今では、
ベンチャー企業の定義は更に難しい状況になってきました。

そこで、企業の「資金調達」に着目することでベンチャー企業の実態を把握することを提案します。

中小企業が実施する資金調達の手段として、新宿区などが実施する制度融資があります。

代表取締役が連帯保証人となる資金調達ですが、
リスクが伴い、売上の見込みも必要となります。

しかし、急成長を目指すベンチャー企業の場合は、
創業数年以内に、億単位の資金調達が必要になることが珍しくありません。

ベンチャー企業の場合は、研究開発期間が必要であったり、
すぐにマネタイズが可能なビジネスモデルとは限りません。

こうした場合は、ベンチャーキャピタルがリスクマネーを供給することになります。

ベンチャーキャピタルから資金調達を受けた企業は、
投資家から強制的に成長を求められることになります。

ベンチャーキャピタル(ベンチャー企業への投資を行う組織)の数、
そして、ベンチャーキャピタルから資金調達をした企業の数を把握することができれば、
ベンチャー政策を一歩前に踏み出すことができます。

行政がベンチャーキャピタルとのネットワークを得ることで、
ファンドの規模や、企業の潜在的な資金調達ニーズについても把握が可能になります。

現状のように具体的な成長プランを持たずに
インキュベーション・センターに税金の投入をすることは誤りです。

まずは、ベンチャーキャピタルやベンチャー企業の実態を数字として明らかにし、
数字を伸ばすためには何が必要なのか考えていくことが大切です。

産業振興、商店街活性化と称し、
街には景品総額数千万円(過去には6950万円があったそうです)のくじ引き大会のポスターが貼られたり、
以前ブログでもご紹介させていただいた、
「しんじゅく地域飲食券」という事業を実施しています。
これらの事業が産業成長の観点から高い費用対効果を出せる事業と言えるのかは疑問です。

1枚当たり100円お得になる「しんじゅく地域飲食券」。なんと5,700万円もの予算が

地域の活性化や、生活を支えることなどを政策に盛り込むことは、
文化政策など別の政策として捉え、産業政策とは切り分けなければなりません。

実態調査や規制緩和など新宿区にしかできないこともあります。
ベンチャー企業の実態に即したインキュベーション事業に取り組み、
目標を数字で示し、着実に達成していくことが必要だと思います。

明日は産業政策の質問を頑張ります!

それでは本日はこの辺で。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤 陽平

新宿区議会議員(無所属) / 1987年生まれ / 早稲田大学招聘研究員 / グリーンバード新宿チームリーダー / Code for Shinjuku代表 / JPYC株式会社