AIに関する実証実験のハードルは?音声認識は実験的に導入と答弁へ

こんばんは、新宿区議会議員の伊藤陽平です。

ICTについて代表質問、また予算特別委員会での質疑を行ったのでご報告させていただきます。

AIについて伺います。AI関連サービスが急速に拡大しています。AIの進歩に遅れを取ることなく、最適なタイミングでシステムを導入することが大切です。
AIに関するノウハウを蓄積するために、情報収集に加え現場の職員が実際にAIを活用をすることが必要です。

総務省の平成31年度予算概算要求によると、自治体におけるAI・RPAに関する実証実験が行われる見通しです。
国の実証実験の機会を活用し、積極的に取り組むことも一つの選択肢です。新宿区がICTに強みを持つ街であることを活かせば、優れた実証実験を行うことができます。
もちろん、提案公募の条件を満たすことは簡単ではありません。まず、AIで何を実現するか明確にしなければなりません。
さらに、民間企業、他自治体とのコンソーシアム方式の場合、事前に各種団体と調整が必要となります。こうした準備を日常的に行うことが大切だと考えています。

また、自治体独自でも、AIの取り組みを進めることが大切です。AI関連の中でも成果を出しているのが、以前も代表質問で議論をさせていただいた音声認識です。
議事録作成から聴覚障害者の情報保障、外国人対応の翻訳まで、様々な分野で実用化されています。
地方議会では、川崎市議会で傍聴者に字幕を提供する取り組みがはじまりました。

実は今読んでいる原稿は音声認識で書いています。一部手直しは必要ですが、誤変換も少なく、キーボードによるタイピングと比較して約3倍程度の速度で書き上げることができました。
少し前に学生のキーボード離れが話題になり、若者を心配する声もありましたが、将来的にはブラインドタッチ等のスキルは必須ではなくなりますし、行政の現場でもキーボード入力にこだわらず、音声認識による入力を導入すべきだと考えています。

音声認識については、以前も定例会で質問をさせていただきました。月額3万円以内で全庁的に複数の端末で利用できる音声認識サービスも登場しています。
まずは情報システム課、あるいは区政情報課で実験的に音声認識システムを導入し、どの部署で活用できるかを検討することが必要だと考えています。

以下、質問と答弁の要旨です。

伊藤 総務省等のAIに関する実証実験の情報は確認をされていますか。また、実証実験に参加するお考えはありますか。
今後、実証実験の情報があれば、参加できるよう準備をするお考えはありますか。
AI分野で高い成果を挙げている音声認識システムを、情報システム課で試験的に導入し活用することについて、ご検討いただけないでしょうか。

吉住区長 はじめに、総務省等のAIに関する実証実験への参加についてです。
国のAIに関するものを含むICT関連の実証実験については、概要を把握しており、各実証実験の分野に関係する所管と、情報の共有を行っています。
実証実験の傘下にあたっては、国からの実証実験に関する対象業務や実施期間、参加条件等の条件提示があった段階で、これらの詳細を確認し、区の施策や地域課題の解決に結びつくものであるか、また、既存システムと適合するか、などを総合的に検討することが必要です。

また、コンソーシアム方式で実施する場合には、ご指摘のとおり、他自治体や民間企業、区内大学等の協力も不可欠なことから、日頃より良好なコミュニケーションが取れるよう、その関係維持に努めていくことが必要であると考えています。

次に、情報システム課での音声認識システムの試験的な導入についてのお尋ねです。
ご指摘のとおり、音声認識技術を活用した行政サービスの提供については、先行自治体において徐々に実用化に向けて動き始めているところです。
区における音声認識システムの活用にあたっては聴覚に障がいを持つ方をはじめとした情報保障など区民サービス向上の観点や、会議録作成などの業務効率化の観点で、音声認識技術がどのように役立つのか、費用対効果は見込めるのかなど、総合的な検証が必要です。このため平成31年度は、若者会議において、試験的に音声認識システムを導入する予定です。

国の実証実験事業については、募集期間が短い中でのコンソーシアム方式など高いハードルが設けられている場合も多いです。
出来レースのような事業も多いですが、手が挙げられるよう、情報収集や関係団体との関係構築が大切です。

一方で、音声認識については試験的に導入されることについてご答弁がありました。
最初に提言をはじめてから長い時間がかかりましたし、全庁的な導入とまでは行きませんでしたが、一歩前進したことについては評価しております。

予算特別委員会でも、関連する質疑をさせていただきました。
ユニバーサルデザインに関するアプリケーションは、iPad等のタブレット端末で提供されていることが多いため、導入状況について確認をさせていただきました。

それでは本日はこの辺で。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤 陽平

新宿区議会議員(無所属) / 1987年生まれ / 早稲田大学招聘研究員 / グリーンバード新宿チームリーダー / Code for Shinjuku代表 / JPYC株式会社