こんばんは。新宿区議会議員の伊藤陽平です。
財務報告と決算審査について質問をしたのでご報告させていただきます。
現在、令和元年決算に関して審査を行っています。
決算で総括をすることで、来年度予算に反映することは非常に重要です。
官庁会計は単式簿記で、法定の決算書も民間とは異なるものです。
公会計改革が推進され、複式簿記による発生主義情報を自治体経営に活かす取り組みが進められてきました。
新宿区では、財政白書という冊子を用いて貸借対照表(BS)、行政コスト計算書(PL)、純資産変動計算書(NW)、資金収支計算書(CF)を公開してきました。
平成30年度決算 [PDF形式:10.3MB] (新規ウィンドウ表示)
上記の資料が最新のものですが、実は平成30年度の資料です。
決算特別委員会で、財務書類が提出されず、審査も行われていない状況が続いています。
本来であれば、行政評価にも公会計を活かし、それに基づき決算審査を行っていくことが望ましいと考えています。
公会計が活用されていない背景には、システムの問題があります。
官庁会計と複式簿記の勘定科目が異なるため、二度手間になってしまっているため、事務に時間がかかっています。
今後のシステム調達も含めて質問をしました。
伊藤 区長が決算で特に重視をしている点を教えてください。
決算審査を進めるためには、財務報告と行政評価が重要だと考えています。町田市等の事例を参考に報告の質を高め、早期に提出するということが必要だと考えていますが、いかがでしょうか。
公会計システムについて課題に感じられていることはありますか。課題があれば解決策は何だとお考えでしょうか。他自治体のシステムについて調査等を行われているのでしょうか。また、システムの改修や次期システムの調達等に向けて準備が必要だと考えていますが、いかがでしょうか。
財政白書は決算特別委員会の閉会後ではなく、審査に間に合わせることはできないのでしょうか。例年第3回定例会の閉会直後に共有いただいてきましたが、もしその日に完成しているのであれば、本会議の討論で活かせるよう定例会期間中に共有いただくことはできないのでしょうか。財政白書が難しい場合でも少なくとも財務諸表は決算特別委員会の期間中に完成していると思われますが、委員会の最終日までに共有をいただくことは可能でしょうか。
民間では財務諸表が重視されています。新宿区でもせっかく費用をかけて資料を作っているにもかかわらず、これまでの決算特別委員会で財務諸表が審査されてこなかったことについてどのようにお考えでしょうか。
吉住区長 はじめに、決算において重視している点についてです。
決算については、当初予算編成方針に基づき編成された予算に対し、その執行が適正に行われたかどうかを重視しています。次に、決算の審査における決算書等についてですが、地方公共団体の会計は、現金主義会計を採用しており、法令でその審査に必要な書類として、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書及び財産に関する調書が定められており、これに基づき審査いただいているものです。
一方で、発生主義会計に基づく財務書類については、連結対象団体の決算認定前の数値を使用する等、本区の決算審査の前提とするには相応しくない要素も含まれているため、これまで決算審査終了後に主に次年度以降の予算編成に活用することを目的として作成しています。
また、行政評価においては、参考数値として事業経費や単位当たりのコストを掲載しているところです。次に、時期財務書類作成システムについてです。
区は、これまで国が無償で提供している地方公会計標準ソフトウェアにより財務書類を作成してまいりましたが、令和3年度末でサービスの提供が終了します。また、非効率的な職員の手作業による分析作業項目が非常に多く、システムにも課題があるため、次期システム導入に向けては、他自治体の状況も考慮しながら、財務書類作業の効率化も含めて検討を進めているところです。
—
公会計の重要性については、コストを投じている以上、公開した上で相応しいかを決算特別委員会で判断すべきものだと思っています。
この件については、ご理解をいただけるよう要望を続けていきたいです。
システムの問題を認識いただいたことは、一歩前進だと思っていますので、結果につなげていきたいです。
今回は、大学院で公会計について学んでいるため質問をすることにしました。
その先生の授業を受講されていた方が少し前まで財政課にいらっしゃいました。
大先輩が財政白書などをわかりやすく作成してくださっていたことになりますが、ありがたいことです。
それでは本日はこの辺で。