こんばんは。新宿区議会議員の伊藤陽平です。
6月なので少し時間がたってしまいましたが、コンプライアンスについて質問しました。
自治体はコンプライアンスリスクを抱えており、信頼を守るためにリスク管理が強く求められています。
企業では、経営者がコンプライアンス対策や反社会的勢力への姿勢を示すことが重要視されています。
コンプライアンスは、法令遵守のことを指す場合もありますが、倫理や道徳まで含まれていると解釈されることが一般的です。
これまでも議会の答弁等でコンプライアンスという用語が用いられてきましたが、法令遵守を超えた意味で用いられていたと理解しています。
この議会においても違法行為等があれば、都度コンプライアンスの問題が追及されていますが、平時から全ての職員、関係者に対して全般的なコンプライアンス対策を講じることが重要です。
また、コンプライアンス対策は、第一義的に現場の責任で行われるものですが、さらに独立したコンプライアンス部門によるモニタリングが有効です。
モニタリングの体制整備や問題が発生した際の対応など専門性が必要なことなので、専門家のご意見を取り入れることも大切です。
また、コンプライアンス対策は、特定の部署に限定せず取り組むことが大切です。
コンプライアンス・ハンドブックのような資料を作成して公開している自治体もありますが、職員への情報共有を継続的に行う必要があります。委託先でコンプライアンスの問題が発生することもあるので、こちらも適切に監督する必要があります。
以下、質問と答弁です。
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伊藤 区長は、コンプライアンス対策や反社会的勢力の関係遮断にどのような姿勢で取り組まれていくおつもりでしょうか。新宿区のコンプライアンス対策の現状について教えてください。
独立した部門から定期的なモニタリングや専門家との連携、コンプライアンス・ハンドブックのような資料を作成して公開することは有効な対策と考えていますが今後のコンプライアンス強化のための戦略や取り組みについてはどのように考えていますか。
コンプライアンス教育や研修は、職員に対してどのように提供されていますか。また、その頻度や内容はどのように決定されていますか。すべての職員がコンプライアンスについて知見を深めることができる仕組みが整備されていますか。
吉住区長 はじめに、コンプライアンス対策や反社会的勢力との関係遮断に取り組む姿勢についてです。
区民の区政への信頼を確保するためには、各種の法令を遵守するとともに、職員一人ひとりが公正に職務を遂行することが重要であると認識しています。
そのため、区では、平成18年度に「新宿区公益保護のための通報に関する条例」、「新宿区職員の行動規準及び責務等に関する条例」を制定し、法令遵守の徹底により、健全な区政運営の確保に取り組んでまいりました。
また、平成24年度に「新宿区暴力団排除条例」を制定し、安全で安心な区民生活を確保するため、区の事務事業から、暴力団や暴力団と密接な関係を持つ団体等を排除するとともに、警察等との連携を強化しながら地域社会全体で暴力団等を排除するための取組も進めてきたところです。今後も、全庁を挙げて職員一人ひとりのコンプライアンス向上に取り組むとともに、暴力団と交際しない、暴力団を恐れない、暴力団に資金を提供しない、暴力団を利用しないという基本理念に基づいて、暴力団や暴力団関係者を排除する取組を推進し、区民の信託に応える公正な区政運営の実現に努めてまいります。
次に、コンプライアンス対策の現状についてのお尋ねです。区では、コンプライアンス確保の取組として、法令・条例等に違反し区の公益を害する事実の通報を受け付ける公益通報制度を運用しています。
また、各部の組織目標に「コンプライアンスの向上と組織ガバナンスの改善」の項目を設け、職員研修の実施や会計事務の点検などに取り組むことにより、内部統制の確保を図っています。さらに、監査の指摘事項を組織全体で共有し、速やかに改善策を講じ、適正な業務につなげるなど、組織的・主体的なコンプライアンス確保の取組を推進しています。
次に、今後のコンプライアンス強化のための取組についてです。各種監査では弁護士や公認会計士等の監査委員により、区の事務事業の法令への適合性等について毎年度検証されています。また、公益通報制度の下、委嘱している弁護士3名の公益保護委員とは、毎年実施している研修等の機会に意見交換を行い、制度の更なる適正な運用に向けたご助言をいただいているところです。このように、独立した専門家による機関から、コンプライアンスに関わる指摘等を受け、改善する体制が整っています。そのため、現時点では、コンプライアンス・ハンドブックを作成する考えはありませんが、引き続き、公益通報制度を適正に運用するとともに、組織的・主体的な内部統制の取組を推進し、コンプライアンスの向上に努めてまいります。
次に、コンプライアンス教育や研修の提供とその頻度や内容の決定等についてです。区では、毎年度、職員研修実施計画に基づき、新規採用職員をはじめとした若手職員、主任職の職員などの中堅職員、監督職である係長職や管理職の職員に対して、コンプライアンスに関する研修を実施しています。研修の内容としては、職務上や身分上の義務など地方公務員の服務に関する法令の定めを内容とするもの、契約などにおける法令の理解や遵守を内容とするもの、過去に自治体で発生した事例からコンプライアンスの確保に向けてとるべき行動や組織としての取組など、各職層に応じたものとしています。研修を受講した若手職員からは「公務員として高い倫理感が求められていることを再確認した」、中堅職員からは「今一度原理原則を理解し、気を引き締めて日頃の業務に当たりたい」、監督職の職員からは「監督職として課内統制やチェック体制の確立などの重要性を再認識した」などの意見や感想が寄せられています。このように、公益通報制度の運用、内部統制の取組、職員研修の実施等により、全ての職員がコンプライアンスについて知見を深めることができる体制を整えることができていると考えています。
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自治体においてコンプライアンスの重要性が高まっています。
この他に反社会的勢力についても質問したので改めてご報告します。
それでは本日はこの辺で。