こんばんは。新宿区議会議員の伊藤陽平です。

本日は、民泊(住宅宿泊事業)についてのご報告をさせていただきます。

まずは、代表質問のご報告から。
新宿区は国内の民泊市場として最大級であり、4000以上もの物件が民泊サイトに掲載されています。
一方、区に寄せられた相談・苦情件数は平成27年度が95件、平成28年度は246件、今年度はすでに260件で、増加傾向にあります。
具体的には、民泊によるマンションのロビーや廊下における騒音、知らない人が出入りしていることが怖いと感じられる方、あるいはごみ出しの問題等の様々なトラブルが発生しています。

私も、目の前にある問題を解決するために対策が必要なことを、十分に理解しています。
しかし、本定例会に提出された条例案は、法律以上に厳しいものでした。
住居専用地域において、家主滞在型民泊と家主不在型民泊が区別されることなく、月曜日から木曜日は規制が行われる見通しです。
この条件では事業者がビジネスを行うことは難しく、事実上民泊を禁止するような内容ではないかと思います。

行政は規制をすることが主な仕事です。
そして、条例等により一度規制が行われると、簡単にルールを変えることはできません。
11月20日の日経新聞には「違法営業によるマナーなどの問題が生じていた。きちんとした管理・営業を通じて社会的に受け入れられる環境をつくるのが大事だ」という、吉住区長のコメントが掲載されています。
この発言からも、法律が整備されることで違法営業の問題が解消し、マナーを守れる環境が整えば、再度ご検討をいただけるのではないかと理解しております。
新宿区民泊問題対応検討会議では、条例制定後の運用に関する議論も行われていました。
現在一律に扱われている家主滞在型に関しては、規制を緩めることをぜひご検討いただきたいです。
また、民泊によって損害を被る可能性のある物件の両隣が許可をすれば問題ありません。
一律に規制をかけるのではなく、住民が主体となれるよう、ルールを作るべきではないでしょうか。

シェアリングエコノミー自体が急速に発展することは避けられないため、本定例会で条例を制定した後に、実態に追いつけない可能性もあります。
新宿区独自の規制を設けることで、区の仕事が増えることにつながる恐れもあります。
それは民泊の対策に税金が使われることを意味するため、望ましくありません。
問題解決の方法を含めて、民間企業はビジネスモデルに組み込む必要があります。
本来であれば、問題解決は民間が行い、行政はコストを負うべきではありません。
そして、行政が一方的な規制を行うことも望ましいとは考えていません。
規制緩和の条件についても目安を提示することで、ごみ出しや、騒音等のトラブルを減らすよう、民間へアプローチをかけることが大切です。

そこで、以下の質問をさせていただきました。

伊藤 条例制定の際に、民泊によってメリットを享受する民間の意見は踏まえられていますか。また、騒音やごみ出し等のトラブルを民間が主体的に減らせるような仕組みも必要だと考えていますが、いかがでしょうか。条例制定後に規制緩和を行う可能性はありますか。また、民泊事業者側が問題解決に取り組むことで、民泊についての信頼回復につながると考えています。どのような条件であれば規制緩和につながるか目安について発表するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

吉住区長 区では、新宿区民泊問題対応検討会議で議論を重ね、条例の作成に向けて、パブリック・コメントを行い、広く民間事業者を含めた区民等の意見を伺いました。
これらの意見や、住宅宿泊事業法の趣旨、日々寄せられる区民からの相談等を踏まえ、条例案を作成しました。
また、騒音やごみ出し等のトラブルについては、法では事業者が住民からの苦情に対して、適切かつ迅速に対応することが義務付けられています。さらに、条例案では、事業者の責務として、周辺地域の生活環境に悪影響を及ぼさないようにしなければならないことを規定しているほか、廃棄物を自らの責任において適正に処理することを義務付けています。
このため、民間事業者が主体的にトラブルを防止することは当然の責務と考えていますが、区としてもわかりやすいルールブック等を作成・配布し、事業者が周辺環境の悪化の防止を図るよう普及啓発していきます。
次に、条例制定後の規制緩和の可能性についてです。
区は、検討会議を引き続き開催し、法及び条例施行後の状況を踏まえ、住宅宿泊事業の課題等について、規制緩和の必要性も含め検証していきます。
現在は、新宿区ルールを定め、民泊が適正に運営され、社会に受け入れられるか否かを見定めることが大切であり、規制緩和の目安を発表することについては考えていません。

今回の答弁から、規制緩和の条件も不明な状態であることが明らかになりましたが、これでは民間事業者も困ってしまいます。
そこで、議論を前に進めるために、アドリブの再質問を行いました。

伊藤 家主滞在型、不在型について混同している状態で議論が進んでいます。それぞれ苦情の件数の比率など情報公開がなければ今後の規制緩和の議論ができないと考えています。改善いただけるのでしょうか。

健康部長 現在、違法民泊がほとんどな状態で、家主滞在型と不在型の把握ができません。まずは、違法民泊の状態を改善いただくことに力を注いでいます。ただし、法の制定後には、届出の時点で把握できるようになります。今後、検討してまいります。

情報公開には前向きなご答弁をいただけたように感じています。
民泊の何が問題なのかを明らかにした上で、引き続き規制の内容についてご検討をいただけるよう要望をさせていただきました。

さて、本会議による条例案議決の結果についてもお伝えします。
条例に真っ向から反対したのは私ただ一人、退席により採決に加わらない議員がもう1名で、35名の議員が条例案に賛成しています。
そして、会派によってはさらなる規制強化を求める声もありましたし、区民からは条例案の規制では甘すぎるとのご意見もいただいておりました。

対象となる住居専用地域は34%であり、66%は実施可能ではありますが、民泊を規制すること自体には納得できませんし、税金を投じて苦情処理等を行うことも問題です。
しかし、例えば大田区のように住居専用地域での全面禁止などさらに厳しい規制をかける自治体もあります。
民間との対話が不十分とは言え、区に届く範囲の少数意見の声まで踏まえた上で、民泊の必要性を考慮しバランスの良い案をご提出いただいた新宿区の姿勢は、一部評価できるものです。

吉住区長とは議会でも様々な議論をさせていただきました。
担当課への質疑にも関わらず、民泊のメリットなどについて区長自ら挙手をし、ご答弁いただいたこともありました。
本当に丁寧なご対応をいただいたことで、こちらの主張もすべて伝えることができましたし、議論は尽くせたように感じています。
本日のニュースでも以下のようなコメントをされていましたが、事業者の方にもぜひご一読いただきたいです。

ルールが厳しすぎると、違法に営業する事業者がさらに潜在化してしまうおそれもある。事業者には周りと調和して信頼が得られるような営業をしてもらい、社会全体で民泊が受け入れられる環境にしていきたい

規制に反対する姿勢を示すことは簡単ですが、それだけで住民から理解を得ることはできません。
しかし、やり方次第で結論を変えることはできます。
私は引き続き議会から情報公開に取り組んでいただくよう働きかけ、問題がなければ規制緩和の流れをつくります。
さらに民間側にもご協力をいただかなければなりません。
今後も民泊が過剰に規制にならないよう、トラブルが発生しないように対策を講じられていることをお示しいただくことが不可欠です。

過去のブログもご参考に。

行政の主な機能は規制。民泊で求められる民間側のアクションとは

拡大する民泊を街の魅力向上につなげること、そして民間との対話により住環境を整え、結果として規制緩和につなげられるよう取り組んでまいります。

それでは本日はこの辺で。

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About The Author

伊藤 陽平

30歳最年少の新宿区議会議員。立教大学経済学部経済政策学科卒業。 妻と二人暮らし。趣味は音楽(3歳からピアノに没頭)。 大学在学中に株式会社スモールクリエイターを設立した元学生起業家。資金調達やグループ会社3社の設立を実施。NPOや一般社団法人等と連携しながら、大学生のキャリア支援や老人ホームで地域の若者とお年寄りを繋ぐ音楽イベントの企画・運営など、若者の感性を通して社会を豊かにしていくことを信条として活動中。