こんばんは。新宿区議会議員の伊藤陽平です。
来月の代表質問では、性的マイノリティについて質問を行う予定です。
今月は、東京レインボープライドにも参加させていただきましたが、性的マイノリティに関する注目は年々高まっています。
そこで、政策に対するスタンスをお伝えします。
まず一番に、男女はもちろん、LGBTや同性パートナー等、政策上の区別を可能な限りなくすことが大切です。
既存事業に関しては対応が必要ですが、特に新たな事業で区別をなくすことは100%できるはずです。
3年前にも性的マイノリティについて質問を行いました。
同性パートナーシップ条例(証明書)に関すること、トイレや住宅など、当事者の方が抱える課題について要望を行いました。
しかし、3年も経過すると状況は変化します。
渋谷区や先行自治体の貢献は大きく、性的マイノリティに関する理解を社会に広めることになりました。
こんなことを言うと当事者の方から怒られてしまいそうですが、今のタイミングで同性パートナーシップ条例を作ることは、自治体によってはベストとは限らないと考えています。
まず、同性パートナーシップ証明書は、財政的な負担のない事業だと誤解されることもあります。
実態としては、条例を制定するためには平均給与が700万円の公務員が動き、さらに議会がフル稼働するため、1,000万円を超える区民の負担が発生する場合もあります。
例えば、宝塚市では制度をつくっても申請がゼロだったという事例もありますが、同性パートナーシップ証明書よりも優先的に行う政策も存在する可能性は否定できません。
特に目立った政策がなくても、新宿区には当事者がたくさん住んでいらっしゃいます。
私も交流がありますが、やはりその数はどの自治体よりも多いような気がしています。
新宿区には同性パートナーシップ証明書はありませんが、多くの当事者の方は、この街に魅力を感じ住んでこられましたし、証明書のある他区に移られた方の話も聞いたことがありません。
もちろん、少数だから良いという訳ではありませんが、移住された方がいたとしても、他自治体の証明書の申請件数からは数えるほどだと予想ができます。
港区で、性的マイノリティに関するインターネット調査を実施されました。
回答者数を確認すると、すでに制度がある渋谷区は4件、世田谷区は18件、制度創設に動きアンケート実施主体の港区は50件、そして新宿区は80件と最多です。
港区公式ホームページ/性的マイノリティに関するインターネットアンケート調査報告書
性的マイノリティに関するインターネットアンケート調査報告書より。
具体的な統計を取ることは困難で、この資料からも判断がつきませんが、当事者の方にとってどの自治体よりも新宿区が住み、暮らし、働きやすい可能性は、肌感覚として感じています。
その背景として、新宿区の行政や議会の努力があります。
同性パートナーシップ条例を制定しないため、性的マイノリティへの理解が遅れていると言われることもありますが、民間、当事者中心で進められた新宿二丁目のまちづくりは、都市計画等で行政・議会が大きく関与しています。
さらに、このコストは無料ではありませんし、政策的に民間への規制をすれば、いまの二丁目はなくなります。
二丁目が当たり前のように存在するように見えますが、今後も同じような街であり続けるとは限りません。
民間がまちづくりの主役となり、行政や議会が応援することで、文化を守り続ける必要があります。
エビデンスが出せるものではありませんが、同性パートナーシップ条例以上に、新宿区のまちづくりの方が効果があった可能性もありますし、なぜ新宿区に当事者が集まっているのか(少なくともお店という観点から)、については他自治体でも検証し取り入れるべき視点です。
また、国政の同性婚につなげるには、同性パートナーシップ証明書が必要とのご意見があります。
この点についても、パートナーシップ証明書だけに限ったことではありません。
例えば、二丁目のまちづくりや当事者が働き住みやすいまちづくりも、大きく後押しすることになるでしょう。
私は、当事者の方からのニーズに基づき証明書事業を行うことは必要だと考えています。
ただし、証明書を発行する場合、「LGBT」や「同性パートナーシップ」という新たな括りで証明書を発行することで、こぼれてしまうマイノリティの存在は無視できません。
性的マイノリティという枠を超え、これらのカテゴリーにも入らない、多様なパートナーシップまで認める寛容さが必要です。
民間で「パートナーシップ婚証明書」という取り組みを始まりましたが、こちらの方がさらにインクルーシブな考え方で望ましいと考えています。
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「同性パートナーシップ証明書に反対=性的マイノリティの敵」という話になりがちですが、決してそんなことはありません。
パートナーシップ証明書も、その他の性的マイノリティ関連事業も、財政的負担が区民側に発生するため、限られた財源の中で優先順位をつけて事業を行うという意味では、他事業と同様に変わりません。
もちろん、議会や行政が勝手に性的マイノリティ政策を決めてしまうことも望ましくありませんし、区民主体で政策を進めることが大切です。
今では、渋谷区をはじめとする同性パートナーシップ証明書の検証ができるようになりました。
性的マイノリティの方に対する政策の成果、あるいは今ある課題に向き合うことが求められています
当事者の方から、別の角度から意見が出ない状態で進めることも問題で、さらなるご意見をいただける環境づくりが必要です。
新宿区が、今よりも多様性が認められる街になるよう、積極的な政策を提言を続けてまいります。
それでは本日はこの辺で。