誰もいない記念館もあったけど、文化の行政需要を判断するのは難しい

こんばんは。新宿区議会議員の伊藤陽平です。

本日は高校生インターンの二日目で、公共施設について学びました。
高校生たちと、午前中は新宿区役所で行政資料を読み、午後は私の住む落合でフィールドワークを行いました。

公共施設に関しては何度か当ブログでも取り上げてきましたが、改めて説明します。
新宿区では、公共施設等総合管理計画が策定されました。

新宿区公共施設等総合管理計画:新宿区

自治体は公共施設、道路、橋りょう、公園を整備してきました。
公共施設等には更新時期がやってくるもので、安全性の観点からも建て替えや耐震化が必要となります。

一方で少子高齢化時代に突入し、財政状況は厳しくなる見通しです。
更新の時期に差し掛かる公共施設等を維持することが困難となりました。
現在の規模で公共施設を維持していく場合、今後40年間で計算すると、1年度あたり13億円も更新費用が不足するという試算が出ています。
これまでと同じ方法で公共サービスを維持することで、将来世代へ大きな負担をかけることになります。
そこで、施設の統廃合や多機能化、あるいは公民連携(PPP、PFI等)の活用等が検討されています。

公共施設に関しては、利用されている区民の意向もあり、大きな反発もあるものですが、今のことだけではなく、将来世代の財政負担やニーズを踏まえ、改革が前進するよう議会からも提言を行っていきます。

さて、公共施設の中には、博物館や記念館があります。
ちょうど今年、平成29年には漱石山房記念館がオープンする予定です。

漱石山房のホームページはこちら↓
新宿区立漱石山房記念館

予算特別委員会でも議論を行いましたが、
「今後も行政需要に応じ、適正に管理運営していく必要がある。」
と博物館、記念館の項目に記載されていました。
「行政需要」とは一体何かということについて考えなければなりません。
前提として、需要があれば、寄付や入館料などでお金を集めることも可能で、民間事業として成立することになります。

高校生たちとのフィールドワークでは、まず最初に林芙美子記念館へ。

新宿区立 林芙美子記念館 TEL 03-5996-9207-新宿歴史博物館

ガイドボランティアの方もいらっしゃって、記念館として使われている旧自宅の構造や当時のエピソードについてわかりやすくご説明いただきました。
しかし、来場者を確認すると、林芙美子記念館で1日30〜40名程度。
1日の売り上げはせいぜい数千円程度です。
現在は、自治体が行う事業としての価格設定ですが、ビジネスとしては成立しません。
私たちが伺った際にも、3名ほどシニアの方がいらっしゃいました。
義祖母が落合にやってきた際にも、林芙美子記念館を見学していましたが、やっぱりシニア世代には大変人気があります。

一方で、高校生や私たちの世代では、
「国語で文学史のテストがあるから名前を覚えた。」
程度の認識で、林芙美子のことはほとんど知られていません。

また、佐伯祐三アトリエ記念館、中村彝アトリエ記念館に関しては、無料で入館できますが、どちらも来場者数は少ないようです。

新宿区立佐伯祐三アトリエ記念館-新宿歴史博物館

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新宿区立中村彝アトリエ記念館-新宿歴史博物館

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私たちが訪問した際には、来場者はゼロでした。
平日だから誰もいなくて当然とも言えますが、時間がある若い学生もなかなか足を運ぶことはありません。
どこも素晴らしい記念館で、心が和みましたが、行政ニーズがあると言えるのか、将来的なニーズは維持されるのかについては疑問に感じました。

また、記念館を1つ運営するためには、毎年1000万〜2500万程度は公費の投入が必要です。
優先順位の見直しをする必要が出てくる可能性もあるでしょう。
適切なタイミングで売り手を見つけること、あるいは今後は新たな施設をつくらないことが求められます。

とはいえ、行政、議会、そして区民の願いで現在の記念館が設立されることになりました。
当時の建物に関しては、一度壊してしまうと元に戻せないという側面もあるため、慎重に取り扱う必要はあります。
区民が貴重だと認めるものを行政が保存することも大切なことです。
既存の公共施設の中で展示を行うなど、文化に取り組むあらゆる手段が検討されることになるでしょう。

予算特別委員会でも、記念館事業の見直しについて要望は行いましたが、林芙美子記念館、佐伯祐三アトリエ記念館、中村彝アトリエ記念館、そして漱石山房記念館に関しては、ぜひ多くの方に足を運んでいただきたいと思います。

議会の有志で漱石の墓参や講演会も行いました。
むしろ需要を向上させられるよう、議員としてPRを頑張っていきたいと思います。

林芙美子記念館、佐伯祐三アトリエ記念館、中村彝アトリエ記念館、この3つの記念館は落合にありますが、歩いてまわることもできるので、ぜひ落合・中井にお越しの際はお立ち寄りください^^

それでは本日はこの辺で。

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伊藤 陽平

ベンチャー×政治。30歳最年少新宿区議会議員。無所属1人会派Startup SHINJUKUで子ども・若者のために奮闘中。365日ブロガー。機械学習。日本初のAI議員。ネット選挙。元学生起業家、楽器演奏。表現の自由。オタクとまちづくり。グリーンバード新宿。落合で妻と2人暮らし。