こんばんは。新宿区議会議員の伊藤陽平です。
本日は、予算特別委員会の2日目です。
関連するところで行財政改革について代表質問させていただいたので、ご報告させていただきます。
平成31年度予算案は、一般会計は前年度比3.0%増の1,508億円で過去最大でした。特別会計も合わせた総額は2,205億円で、前年度比2.1%増となりました。
将来世代にツケを回さないためにも、予算や歳出は肥大化させず、行政はスリムで効率的な状態であることが望ましいです。
スタートアップ新宿として、平成31年度予算要望書を提出させていただきました。新規や拡充の項目のみならず、廃止や縮小についても要望をさせていただきました。
具体的には、ふれあい入浴やことぶき祝金、ワークライフバランス事業、区民保養所等について、廃止や縮小の要望をさせていただきました。
吉住区長は、区政の基本方針説明で平成31年度予算案に関して、このように説明されていました。
「良質な区民サービスを提供し続けるためには、将来にわたり安定した財政基盤を確立しなければなりません。そのためには、引き続き、区税等の増収対策、内部管理経費の削減、公共サービスのあり方の見直しや定員適正化などの取組を、さらに進めることが重要です。常に区民の視点で、不断の行財政改革に徹底して取り組み、持続可能な行財政運営に努めてまいります。」
と説明されていました。
区税等の増収対策、内部管理経費の削減、定員適正化は、区民からは直接見えにくい改革です。
一方で公共サービスのあり方の見直しは、サービスの受益者である区民からの批判が起こる可能性があります。
しかし、サービスの受益者ではない区民の視点に立ち、過剰な負担をかけないよう、そして行政がセーフティネット等の福祉事業に注力できるよう、改革をより前に進めることが大切です。
協働事業助成等の一部事業では採用されていますが、予算や事業に対してサンセット方式を徹底することが望ましいと考えています。
予算や事業に期限を決めることで、行政組織や行政事業が増えすぎるのを抑える仕組みです。
まず、経常事業を減らすことが大切です。実行計画に対するローリングは行われています。行政評価で計画以下と判断された事業が拡充される場合もあります。
ニーズが存在しない、行政が担うことに馴染まないと思える事業もあります。
期限を決めて、拡充のみならず廃止や縮小等の選択肢を積極的に検討することで、新陳代謝を促すことが必要です。
さらに、財政基本条例の制定も検討すべきです。
例えば和光市では、和光市健全な財政運営に関する条例により、財政運営の基本的事項が定められています。
これは、計画的な財政運営の仕組みを構築し、将来世代に過度な負担を残すことのない安定した財政運営を確保し、市民の福祉の向上に寄与することが目的です。
財政運営の指針や計画的な財政運営について条例で明記されています。このような方針は、先ほど引用させていただいた区長の基本方針説明と一致していると考えています。
将来世代にツケを回さない方針を事前に打ち出し、徹底することが大切です。
今後は、議会の決算審査や予算編成過程でも、歳入と歳出を中心に予算を要望することも大切ですが、公会計を活用した自治体経営的な視点がより一層求められます。
新しく条例を制定する前に、財政関連の条例をアップデートするという方法もあります。
既存の新宿区財政状況の公表に関する条例がありますが、財務諸表の公表や議会への報告についても追加する必要があります。
財政的に逼迫してから対策を講じるのでは遅く、今から準備を行い、条例として責任を明確にすることが望ましいと考えています。
以下、質問と答弁の要旨です。
伊藤 公共サービスのあり方の見直しについて、区長が取り組まれてきたことや実績、また今後取り組まれることを教えてください。
予算や事業に対するサンセット方式の導入について、対象を広げるお考えはありますか。
財政運営について基本的な事項を定めた財政基本条例を制定することが必要だと考えますが、いかがでしょうか。吉住区長 はじめに、公共サービスのあり方の見直しに関する、これまでの実績と今後の取り組みについてです。
区では、行政評価による事業の見直しや経費の精査に取り組む中で、負担の公平性も検証しながら、区民サービスの向上を図っています。
その上で、コンビニエンスストアでの区税等の納付及び住民票の写し等の交付サービスや、住民票等の手続きの受付状況がスマートフォン等で確認できるサービスなど、区民の利便性向上に向けて、新たなサービスの提供に取り組んできました。また、民間の資金や技術力などを活用したPark-PFI制度による、賑わい創出のための新宿中央公園の交流拠点施設整備や大学との連携による商店街の魅力づくり、企業との連携による自転車シェアリングの推進など、地域の活性化に向けた様々な事業に取り組んでいます。
今後も、区税等のクレジット納付等の導入や、オープンデータを活用した地域課題への取り組みなど、様々な手法によるサービスの提供を行い、好感度1番の区役所を目指してまいります。次に、予算や事業に対するサンセット方式の導入の対象を広げる考えはあるかについてです。
現在、行政評価による事業の検証を行い、適切な事業の進行管理を行っています。サンセット方式については、事業の目的や内容に応じて、一部の事業で導入しているところであり、経常事業などを含めたすべての事業に広げていく考えはありません。
次に、財政基本条例についてのお尋ねです。
区は、これまでも地方財政法等の関係法令を遵守し、予算の収支見通しの策定、区税等の歳入確保、行政評価等による事務事業の見直しや経費削減など区民の視点で、不断の行財政改革に取り組み、計画的かつ効率的な財政運営に努めてまいりました。
さらに、予算編成過程の情報公開や「新宿区財政白書」を作成し、区広報やホームページで公開するなど、区民の皆様に区財政の現状や課題を適宜お伝えすることにより、説明責任を果たすよう努めてまいりました。
このため、現段階で、財政基本条例を制定する考えはありません。
—
本日、予算特別委員会で55分のお時間をいただき、質疑をさせていただきました。
予算ということで代表質問と同様に行財政改革に多くの時間を費やしましたが、前向きにご答弁いただけたこともありました。
私たちは予算を肥大化させることなく、選挙で投票ができない将来世代のことまで考慮した予算にする責任があります。
納税者になった際に過剰な負担を強いることのないよう、行財政改革を推進し、スリムで効率的な自治体経営が行われるよう、引き続き議会活動に取り組んでまいります。
それでは本日はこの辺で。