嫌老から敬老へ。おじいちゃん・おばあちゃんは孫にツケをまわしたいとは思ってない

昨年、五木寛之さんの「嫌老社会を超えて」という本がヒットしました。

嫌老社会を超えて 五木 寛之

五木さんの動画↓

五木さんの記事↓
高齢者は「金食い虫」たる存在か 「賢老」への道を探る

社会のあらゆる面でこうした高齢者に違和感をもつ人は多いだろう。残念なことだが、あつれきが生まれてくるのも十分に理解できる。こうした点を五木氏が冷静だがずばりと指摘しているのはまさに慧眼と言える。五木氏が「新たなヘイトスピーチの予感」と懸念しているように、五木氏のいう「金食い虫」たる存在の自分たちに向けられている強い憎悪や嫌悪感、拒否感など厳しい視線に気付いているだけに、五木氏の言は説得力がある。自らの世代を「老人階級」と名付け、世代間闘争の槍玉にあがっているという分析にもなるほどと思わせる。五木氏みずからが80歳を超えているからこそメッセージがリアルに伝わるのである。

こうした状況を踏まえて、本書で五木氏は、道徳論や精神論ではないいくつかの大胆な提案を行っている。一つは「産業意識の転換」であり、産業の担い手も市場も高齢者を切り口に発想してゆこうという発想だ。生産の再編成を行い、「老人力」を発揮できる場を広げようという提案である。高齢者のニーズは高齢者がよくわかる。ならばそうした層を対象とした製品の開発やマーケティングは高齢者に任せ、そして日本を“老人カルチャー”の中心地にするという考え方である。

もう一つは、一定以上の収入のある豊かな人は年金を返上し、社会に還元すること、そして高齢者があえて選挙権を後の世代に譲る「選挙権の委譲」だ。五木氏は少なくとも100歳以上の高齢者が自主的に選挙権を辞退することは認めてもいいのではないかと説く。年金の返上にしろ、選挙権の委譲にしろ、いずれも社会全体で議論が沸騰する「コントラバーシャル」な提案であり、憲法改正や法改正にまでつながるような大きな挑戦である。おそらく政治的にも簡単にはゆかないだろう。だが、世の中に広く名前や存在を知られた五木氏があえてこうした提案をする意義は決して小さくないだろう。

選挙制度改革なども含まれているため、非常に難しいテーマではありますが、五木さんがおっしゃっていることに心を動かされました。

私が選挙に挑戦している際に主張していたことは、「将来世代への財政負担を減らしたい」の一点でしたが、「未来のために協力する」とシニア世代の方に声をかけていただいたり、応援してくださることがありました。

もしかすると、世代間対立とは若者が一方的に煽っているだけで、未来を担う将来世代のお金を使ってまで豊かになろうと考えている高齢者ばかりではないと思いましたし、むしろ心の底から将来世代のことを大切にしたいと思っている方はたくさんいらっしゃるのではないかと思います。

将来世代に向けた選択肢が、今の政治には無いだけなのかもしれません。

将来世代へのツケを回さないための政策を掲げる候補者は、若者だけでなくシニア世代にとっても、有力な選択肢となるでしょう。

世代間格差の当事者としてそうした政策を掲げる可能性のある若者が選挙へ立候補できるよう供託金や被選挙年齢などのハードルを下げるなど、選挙制度改革に関する議論をしていくことも必要だと考えています。

人の問題ではなく、制度の問題であれば、これから改善をしていけば良いのです。

これから、少子高齢化に対する将来不安が社会全体で増大することで、五木さんのような将来世代にツケをまわすことを良しとしない、自立心を持つシニア世代が増えてくる可能性もあります。

先行きの見通しの立たない財政状況の中で、少子高齢化社会を乗り越えるためには、そのようなシニア世代と若い世代が手を取り合わなければなりません。

今起きている問題を、シニア世代や他人のせいにするのではなく、若者側こそ五木さんのように未来のことを考えてくださるシニア世代としっかりと対話し、「嫌老」から「敬老」へ意識改革をしていくことが必要です。
そして、シニア世代の方が「子どもにツケをまわさない」と意思表示をしてくだされば、若者の主張以上に社会へ浸透していくことになると考えています。

これまで、世代間格差や、それを生み出したこれまでの政治や有権者にフォーカスしてきましたが、本日は別の視点からお話をさせていただきました。

子どもにツケをまわさないアイデアがあれば、ぜひお気軽にご連絡いただければと思います。

それでは本日はこの辺で。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤 陽平

新宿区議会議員(無所属) / 1987年生まれ / 早稲田大学招聘研究員 / グリーンバード新宿チームリーダー / Code for Shinjuku代表 / JPYC株式会社