電子書籍は読み放題へ。今こそ図書館の議論が必要

本日はこちらのニュースをご紹介します。

「Kindle Unlimited」開始、和書12万冊、洋書120万冊が読み放題で月額980円

アマゾンジャパン(Amazon.co.jp)は、電子書籍の読み放題サービス「Kindle Unlimited」の提供を開始した。利用料は月額980円(税込)。

 「Kindle Unlimited」は、Kindleの電子書籍として公開されている作品のうち、書籍、コミック、雑誌、洋書などの一部作品が読み放題になるサービス。

 サービス開始時点で、和書12万冊、洋書120万冊をラインナップする。提供タイトルには、「陽気なギャングが地球を回す」(伊坂幸太郎)、「人生がときめく片づけの魔法」(近藤麻理恵)、「パタリロ!」(魔夜峰央)、「デトロイト・メタル・シティ」(若杉公徳)などのベストセラー作品も含まれる。

 Kindle電子書籍リーダーのほか、iPhoneやiPad、Android端末、パソコンに対応。通常のKindle書籍同様に、読み終わった位置が同期されて別の端末から読み続けられるほか、ハイライト機能なども利用可能。

 なお、Amazonの個人向け出版サービス「Kindleダイレクト・パブリッシング」もKindle Unlimitedに対応し、個人出版の書籍もKindle Unlimitedで配信できるようになった。

Apple Musicなど音楽の定額制サービスをご利用の方も多いと思いますが、今後は電子書籍の定額制にも本格的にも人が流れてきそうです。

私は文教子ども家庭委員会に所属しているため、電子書籍の検討については議会でも積極的に提言をしています。
現状では行政も議会もまだピンときていない様子ですが、そろそろ本格的に議論が必要だと考えています。

もちろん、紙の方が一覧性があって良いという意見もたくさんあります。
しかし、本は物理的に面積を必要とし、貸し出し、案内、書籍の管理などで膨大な公費投入が必要です。
その結果として、1回の貸し出しは1200円ものコストが発生していますが、本を買ったほうが安い場合もありますし、電子書籍定額サービスの月額料金の方が安いです。

過去の記事もご参考に↓
無料に見えるけど貸出1件1,200円!公民連携をデフォルトに

12万冊にアクセスできる電子書籍定額サービスの方が、数万冊を蔵書する公立図書館よりも読みたい本が揃っている可能性もあります。
所得にかかわらず学んだり、知的欲求を満たすことを目的とするのであれば、電子書籍へ移管した方が安く目的を達成できるのではないかと思います。

また、電子機器が苦手で操作ができない人がいるという反対意見もあると思いますが、徐々に問題は解決していきます。
端末メーカーもシェアを拡大するために、利便性の向上は追求されています。
利用しやすいように電子書籍専用端末の登場していますが、これからはIT機器に慣れていない方でも利用することも可能になります。

議会などでも図書館に関する議論をすることがありますが、どのような書籍や資料を充実させて知的好奇心を満たすにはどうしたら良いかということ以上に、シニア世代の憩いの場であったり、学生の自習室、あるいは子どもに読み聞かせをする場として大切だという話が中心になっています。

居場所や公共施設としての存在意義についての議論をすることも大切ですが、公費をつぎ込みたくさんの本や資料を揃えている以上、図書館の主たる機能以外に重点が置かれるようになってきたと感じています。
このような議論を聞いていると、今後も「図書館」として公費投入を続け存続させる意義があるのかは、少し違和感を感じるところです。

もちろん、ご利用されている方もたくさんいらっしゃるため、すぐに図書館を廃止にすべきだと議会で提言することはありません。

しかし、これから民間で電子書籍定額制サービスが普及すれば、公費投入をしてまで図書館を運営する必要性が低下することになります。
電子書籍読み放題が登場したタイミングだからこそ、図書館の費用対効果や存在意義について改めて真剣に議論すべきです。

それでは本日はこの辺で。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤 陽平

新宿区議会議員(無所属) / 1987年生まれ / 早稲田大学招聘研究員 / グリーンバード新宿チームリーダー / Code for Shinjuku代表 / JPYC株式会社