汚れる覚悟でネガキャン。私のネット選挙総括

新宿区議会議員の伊藤陽平です。
都知事選では、「ネット選挙」が大きな力を発揮したことを感じています。

これまでも、ネット選挙に取り組んできました。
無駄だと言われ続けましたが、今回の選挙で確信しました。
間違いなく、ネットは選挙に必要不可欠なものになりました。

まず、都知事選で非常に良い活躍をしたのが、ニュースアプリの「NewsPicks」です。
猪瀬元都知事の告白により、樺山氏の自殺、衝撃的な遺書などとともに、都議会の実態が語られました。

猪瀬直樹が語る「東京のガン」 – NewsPicks

ネット上の拡散にとどまらず、自殺をされた樺山氏の妻が小池ゆりこさんの演説でマイクを握るなど、大きな流れがありました。

こうした情報が拡散するようになった背景として、Yahoo!ニュース、スマートニュース、グノシーなど、IT企業の成長がありました。
改めてベンチャー企業には大きな期待をしています。

さて、今回の都知事選挙で私は何をしていたのかをお伝えします。

まず、ネット選挙をやるにしても、明確な目的が必要です。
私の場合は今回、増田ひろや氏に対する政策的な実績評価や、都知事としての資質を浸透させることに徹しました。
いわゆるネガキャンというやつです。

週刊誌で女性スキャンダルについて書かれた候補者がいたり、政治と金の問題にも注目が集まっていましたが、個人的にはそれほど大きな関心はありませんでした。

どちらのテーマも、過去の実績などに関係なく疑惑がかけられる性質のものです。
もっと重要な政策や政治家の資質に関わることについて議論をするべきだと思っています。

増田ひろや氏の場合、東京電力取締役や外国人参政権の話などが盛大に拡散されていました。
最初からそうしたテーマに関心のある方以外にとっては、記事を見ても「都政と関係ない話」として認識されることになります。

増田ひろや氏は、岩手県知事、総務大臣の経験を持つ実務家として売り出していましたが、調べていくうちに、メディアを通じて発言されている内容と明らかに乖離をしていることがわかってきました。

例えば、他人のファーストクラスを批判しながらも自分は利用していたことや、1.4兆円の借金を「いわれなき批判」として否定する一方、現在進行形で岩手県には問題が残っており、なかったことにされていたこと。
そして東京都民が福祉等に用いることができた税を地方へ送金する政策を推進したこと。
舛添氏が辞任した背景や、13兆円の予算を担うトップとしての資質を考慮すれば、当然有権者に必要な情報だと判断しました。

岩手旅行三部作では、現地の写真や議会答弁など事実の引用をしました。
当ブログだけでなく、アゴラさん、BLOGOSさんにも転載をいただき、Yahoo!ニュースさん、スマートニュースさん、グノシーさん等を通じて拡散されました。

また、選挙戦の最終週では連日ネット番組に出演させていただき、ほぼ毎回岩手旅行を写真つきでご紹介させていただきました。

netsenkyo

若手議員二人で、地上波では流せない現職ならではの生々しいぶっちゃけ話が繰り広げられたわけですが、
「公人としてはどうかと思う。」
というご批判はもちろんありましたが、
「おもしろくて友達と一緒に一気に何本も見ちゃいました。」
という嬉しいご意見もありました。

そこでも、毎回欠かさず増田氏についてお話させていただきました。

最終回では、1,750名の方に視聴いただき4,461件ものコメントをいただきましたが、これは政治番組ではかなりのヒットです。

ネットでポジティブな反応をいただいた一方で、都議補選の候補者ですが、森口つかさ氏が日刊ゲンダイの強引な取材によって、事実とは明らかに異なる焼き直し記事を選挙期間中に発表し拡散されるということが起こり、事実上のネガティブキャンペーンとなりました。
そもそも政治資金の話は、単なる買い物であっても「買収」「裏金」だと疑いをかけることができてしまいます。

小池氏から森口氏の裏金疑惑はゲンダイ側に根拠なし

現職の都議会議員でも、この日刊ゲンダイの記事を間に受け情報を拡散し、「裏金の疑惑だ」と騒いでいる様子を見ると、何とも複雑な心境になります。

ほとんどデマに近いような記事を出すことで、有権者は混乱します。
最低限、議会の議事録やご本人の著書を用いるなど、根拠をしっかりと持った上で有権者にとって有益な情報を拡散していただきたいと思います。

ちなみに、今回の岩手旅行についてですが、休暇をとって岩手へ旅行しただけなので、政務活動費は利用していません。
ご理解いただければと思います。

ネットで情報発信をしていた立場として、今回はネットとメディアがリンクしていたことが特徴的でした。
今まで一般に公開されていなかった事実がオンライン上で話題になり、それをテレビで記者が質問し、討論会で候補者が質問する。
そしてテレビでの発言がまたネット上で一気に拡散する、という流れが定着したと思います。

組織票を持つ、増田氏や鳥越氏の方が圧倒的に条件が良かったはずですが、候補者のポテンシャルから失点が目立ち、ネット上でのダメージコントロールに失敗していたことは明らかでした。

小池ゆりこ氏とは選挙期間中に一度だけお会いする機会がありましたが、ご自身でiPad Proを持ち歩かれていて、写真を見せてくださったり、ネットを積極的に活用されている様子でした。

候補者自身がネットの重要性を理解し、加えてネット上では最強の戦闘力を持つおときた都議が全面的に支援をしていたことにより、スキャンダルに対するダメージコントロールは秀逸でした。

しかし、増田氏や鳥越氏に関しては、ネットは完全に丸投げ状態という印象でした。
小池陣営と比較すると、説明責任を十分に果たせず、後手にまわり信頼が失われていきました。

舛添都知事の辞任や、今回の選挙のように、ネットから問題が明るみになり組織が崩壊しています。

これからは、日常的にネットを通じて情報の受発信を行わない政治家は淘汰されていくことになります。
ネット選挙に関しても、凄まじいスピードで進化することを期待しています。

ネットサーフィンでも大まかな情報が出てきますし、過去の雑誌や新聞記事をインターネットを通じて閲覧することがでるサービスもあります。

候補者からは都合の良い情報しか流れないため、誰かがネガキャンをしなければいけません。
他人の目さえ気にしない覚悟があれば、当たり前の事実を書くだけで、誰もが一定の効果を出すことができます。

自分の評判が下がることはもちろん、現職議員の方は敵が増えるのでご注意ください。
普段の私は候補者の良いところにフォーカスして取り上げることが多いので、やっぱりあまり気持ちの良いものではありませんね。

投票日の前日、喫茶店にいたカップルが選挙の話をしていて、
「増田さんって人、競馬でなんかやらかしたみたいだからな。」
と言ってるのを聞いたり、
投票日にお昼ご飯を食べに行ったお店で、若い男性二人が雑談してて、
「増田さんは宮城県(間違ってましたが)かどこかで、借金2倍にしたから無いなあ。」
と言ってるのを聞きました。
もちろん、自分の成果ではありませんが、情報発信をして本当によかったと思いました。

それでも今回だけはあまりに情報が共有されていなかったので、都民へ情報提供をしたい一心でやりました。
今回の選挙で少しでも投票の参考になったのであれば幸いです。

それでは本日はこの辺で。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤 陽平

新宿区議会議員(無所属) / 1987年生まれ / 早稲田大学招聘研究員 / グリーンバード新宿チームリーダー / Code for Shinjuku代表 / JPYC株式会社