議員提案条例も活発。全国で手話言語条例制定へ

こんばんは。新宿区議会議員の伊藤陽平です。

ちょうど一昨年前に群馬大学の金澤教授に同行させていただき、明石市へ視察に伺いました。

金澤教授の著書はこちら↓
手話の社会学―教育現場への手話導入における当事者性をめぐって 金澤 貴之(Amazon)

障害者支援に関して先進的な取り組みを行う明石市では、手話言語条例など、多くのことを学ぶことができました。

過去のブログはこちら↓

過去のブログでもご説明させていただきましたが、日本手話の文法は日本語とは異なるものですが、言語として確立されているものです。

明石市では、手話言語・障害者コミュニケーション条例を制定し、政策として実行されています。
昨日はその時に中心となったメンバーによる懇親会に参加させていただきました。

金澤教授からは、
「今日は、単なる飲み会です!」
とご説明がありましたが、聴覚障害をお持ちの斉藤りえ区議をはじめとした超党派の地方議員、大学生、NPO、国家公務員の方、そして視察でもお世話になった明石市職員の方まで、様々な方が集いました。
飲み会を楽しんでいる方もいらっしゃいましたが、最初から最後まで聴覚障害に関する勉強会のように、学ぶことの多い会でした。

手話ができる方もいらっしゃったので、通訳や、おなじみのUDトークを活用しながら進行しました。

UDトークについてはこちら↓
UDトーク | コミュニケーション支援・会話の見える化アプリ

手話言語条例は最初に鳥取県で制定されてから4年目で、現在は80もの自治体で制定されています。
ちょうど群馬県高崎市議会、埼玉県熊谷市議会の方がお見えになっていましたが、高崎市では3月16日に制定され、熊谷市では3月21日に制定されました。

明石市のように執行部提案(行政提案)であれば予算措置が行われ、政策が前に進みやすいという特性がありますが、これからは議会提案も推進していくことが大切です。

手話言語条例を制定する際に、
「なぜ手話だけ特別扱いなんだ!車椅子はダメなの?」
など、手話が言語だということが浸透していないこともあり、障害者団体との調整がうまくいかず、取り組みが進められないこともあります。
(その点、明石市では手話言語・”障害者コミュニケーション”条例としたことは素晴らしいです。)

議員提案条例が難しい理由としては、利害が対立する場合が多く、合意形成が非常に難しいことがあります。
しかし、手話言語条例であれば、反対をする理由が少なく、合意形成のハードルは低いと考えられます。
初めての議員提案条例が手話言語条例という自治体も存在しますが、党派を超えて取り組めたそうです。

行政から提案される場合は、予算措置や担当職員の確保など、ある程度話が煮詰まった段階で条例提案が行われます。
一方で、議員提案条例の場合は、条例制定が行われても、予算措置が伴わない傾向があります。
そのため、強引に条例を通すだけではなく、行政との調整が不可欠です。
現実的な落とし所を見つけるためにも、超党派かつ政官の垣根を超えた議論が求められます。

新宿区議会でもちょうど昨年の9月に共産党さんが、手話言語条例制定を訴える代表質問を行なっていました。

吉住区長からは、
「自治体間で格差が生じないよう国として法整備が必要。そのため条例制定は考えていない。」
という答弁が返ってきました。

新宿区として直近の手話言語条例に関するスタンスは明らかですが、国としての法整備を待っているようでは、基礎自治体、あるいは地方議会の存在意義はありませんので、独自に条例制定を行うことを検討すべきです。
もちろん、新宿区としてこれまで国よりも先んじて対応を行ってきていることもたくさんあり、吉住区長も理解した上での答弁です。

政策を実現するためには、ある程度ですが執行部や議会との合意形成が不可欠です。
私も若者政策やICT政策に関しては、質問の前後でブログを書いて情報共有を行ったり、あるいは他会派や区職員の方に対して個別にご説明させていただくなど、どれくらい効果があったのかはわかりませんが合意形成のために努力を行ってきました。
超党派でさらにこの流れを大きくし、地方議会は与野党は存在しないため、すべての議員が主体的になり、議会からの積極的な政策立案を推進していくべきです。

直近の答弁で引き下がることなく、議員提案条例も含め、実現に向けて引き続き研究していきたいと思います。

それでは本日はこの辺で。