行政の主な機能は規制。民泊で求められる民間側のアクションとは

こんばんは。新宿区議会議員の伊藤陽平です。

本日は、新宿区民泊問題対応検討会議でした。
新宿ルールを制定し、規制が強化される見通しです。

ご興味のある方は、資料が公開されておりますので、ぜひご覧ください。

新宿区民泊問題対応検討会議について:新宿区

ご承知のように、新宿区は国内最大級である4000以上もの物件が民泊サイトに掲載されています。
区に寄せられた相談・苦情件数は平成27年度が95件、平成28年度は246件、今年度もすでに260件で、増加傾向にあります。
具体的には、民泊によるマンションのロビーや廊下における騒音、知らない人が出入りしていることが怖いと感じられる方、あるいはごみ出しの問題等のトラブルが発生しています。

条例によって民泊への規制が行われると、ルールを動かすことが難しくなります。
例えば、近隣住民も合意し、誰が問題だと思っていない事例にまで規制が及ぶことは望ましくありません。
そのため、過度な規制には反対する立場です。
こうしたスタンスから、規制をかけること自体問題だと認識していますが、行政側ばかりを批判しても前に進まないので、事業者側にもご協力をいただきたい点をご説明させていただきます。

まず、規制は望ましくありませんが、民泊が近隣トラブルという問題を抱えていることは認識しています。
これまで議論を行ってきましたが、新宿区も民泊自体に反対したいわけではありません。
一方で本日も吉住区長から、
「違法民泊で、地域では問題が起きていることは事実。事業者が適切に対応することで、信頼を回復していただきたい。」
とのお話がありました。
まさにこの点は事業者にご理解いただきたいポイントです。

今回のケースは、行政と企業のコミュニケーション不足が問題です。
これまでの流れを簡単に整理すると、ビジネスモデルが近隣トラブルという問題を解決しきれていない状態で急速に拡大し、行政がそれを止める手段が規制しかなかったということです。
新宿区民泊問題対応検討会議のメンバーが、警察や消防、町会や商店会などの委員から構成されているため偏りがあります。
そのため、民泊により利益を得る側の意見も取り入れるべきだと提言を行ってまいりました。
違法民泊を行う業者が、警察が参加する会議に出席するにはハードルがあります。
また、新宿区も大手民泊企業に連絡を取ろうとしたところ、連絡先が不明であったためコミュニケーションが取れなかったという経緯があります。
少し前に業者の方が新宿区長と面会されたそうですが、残念ながらタイミングが遅すぎましたし、コミュニケーションもうまく取れていなかったそうです。

そこで、今からでも行政が近隣住民とのトラブルで介入する必要がないようビジネスモデルを築いていただき、新宿区や自治体にご提案いただくことはぜひお願いしたいです。
また、一度条例が制定されたとしても、運用によりますます厳しくなる可能性もあります。
今後とも、民間から積極的なご提案をいただきたいです。

行政の仕事の一つに、規制をかけることがあります。
街の発展にも影響を与えるため、できる限りこの手段に頼るべきではありませんし、問題解決は民間で行うべきです。
規制の議論がここまで進行してしまったのは、完全に私の力不足です。
大変申し訳ございません。
今後同じようなことが他自治体で起きないよう、私も反省し注意します。
仮に条例が制定された場合にも、運用する過程で規制強化が行われないよう、緩和に向けて取り組んでまいります。
同時に、民間事業者には規制が行われる背景を理解し、どうすれば問題を解決できるのか踏まえた上で、行政とのコミュニケーションをお願いしたいと思います。

私もシェアリングエコノミー等新たなビジネスモデルを議会から応援し、地域にとってもプラスになるよう引き続き取り組んでまいります。

それでは本日はこの辺で。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤 陽平

新宿区議会議員(無所属) / 1987年生まれ / 早稲田大学招聘研究員 / グリーンバード新宿チームリーダー / Code for Shinjuku代表 / JPYC株式会社