市直営→指定管理(小郡市公園ふれあい公社)→再度直営で合理化へ。小郡市の図書館行政への視察相次ぐ

こんばんは。新宿区議会議員の伊藤陽平です。

本日から三日間、文教子ども家庭委員会の視察です。
初日は、全国から視察が殺到する福岡県小郡市にお伺いし、図書館行政について視察をさせていただいています。

詩人の野田宇太郎が有名で、図書館内に野田宇太郎文学資料館があります。

移動図書館「しらさぎ号」が、2週間に1回学校をまわります。
3つの病院でも移動図書館の取り組みにより入院患者の方が読書をできる環境を整えたり、高校や専門学校との連携も行なっていいます。

さらに学校と連携したシステムを導入することで、学校図書館も市立図書館のサーバーで管理をしています。
そのため、図書館カード1枚で学校図書館と市立図書館どちらでも貸し出しを行うことが可能となりましたし、コストダウンにもつながったそうです。

さらに物流ネットワークを活用することで、メール便で学校でも市立図書館の本を借りることができます。
他にも近隣自治体と連携して貸し出しを行うことも可能です。

移動図書館には多くの予算が必要だったり、18.23 km²の新宿区内に10箇所もの図書館があることなど、小郡市とは状況が異なりますが、子どもが学ぶ環境を整えようと努力されている姿勢が伝わってきました。

なぜ小郡市の図書館が注目されるのか、その理由としてまず一番に、平成18年に指定管理者制度を導入し、21年に直営に戻されたことが挙げられます。

指定管理者制度とは、図書館等の公共施設の運営を企業に委託する取り組みです。
民間のノウハウを施設運営に活用することや、問題が発生した際に業者を変更できるという柔軟性にメリットがあると考えています。
TSUTAYA図書館等でも有名になりました。
新宿区立図書館も、紀伊国屋書店や丸善などの書店、あるいは図書館流通センターという大手企業により運営されています。

小郡市では、直営の後に、市内の公園や公共施設を運営する小郡市公園ふれあい公社に委託することになりました。
そのため、図書館流通センターや書店など民間のノウハウを活用した指定管理とは少し異なり、直営と公社で共通した職員が多くいらっしゃるなど違いはありますが、指定管理を導入した際に、質の向上と経費削減の効果がありました。
しかし、図書館に関する計画などは行政直営で行うなど、100%委託することはできません。
公社が運営していた際は所管が生涯学習課になり、事務処理が煩雑になるという問題がありました。
他にも、公社といえども行政ではないため、議会や教育委員会で直接意見を述べることもできません。
結果的に直営→指定管理→直営となりましたが、すべての段階で合理化が行われています。
指定管理を導入した後は所管も図書館課になり、意思決定が迅速になり、行政との連携ができるようになりました。
先ほどご紹介した図書館システムも、指定管理者による運営の場合は学校との連携は難しいですが、直営にすることでシステムの一本化が実現したようです。

小郡市の取り組みには、図書館から子どもたちの教育環境をより良いものにしようとする強い意志がにじみ出ていました。
図書館を取り組む環境は、インターネットの発展あるいは電子書籍の登場により、情報を得る手段が本に限定されないことなど大きく変化をしています。
新宿区でも、未来の図書館にはどのような機能が必要か、検討を進めていかなければなりません。

そして、図書館といえば普通は無料で利用できますが、新宿区の場合ですと年間15億〜20億程度の図書館費をご負担いただくことになります。
区民のみなさまも図書館行政の議論にご参加いただけるよう、引き続き情報提供を行ってまいります。

それでは本日はこの辺で。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤 陽平

新宿区議会議員(無所属) / 1987年生まれ / 早稲田大学招聘研究員 / グリーンバード新宿チームリーダー / Code for Shinjuku代表 / JPYC株式会社