広島市立藤の木小学校は、平成22年から一人一台タブレット、教員が1000本独自の教材作成

こんばんは。新宿区議会議員の伊藤陽平です。
本日は文教子ども家庭委員会の二日目でした。

広島市立藤の木小学校にて、ICTを活用した教育を視察させていただきました。
これまで文教子ども家庭委員会でも特に力を入れて議論を行ってきたテーマです。
数多くの現場視察を行ったことに加え、教員を対象としたプログラミング研修を受講するなど行い、たくさんの提言を行ってまいりました。

藤の木小学校は国に表彰されるほど先進的な取り組みが行われていますが、 このブログでも共有させていただきます。
平成22年から平成24年まで、国のフューチャースクール推進事業実証校として、一人一台タブレットが実現しました。
一度配布されたタブレットは、6年間同じものを使い続けますが、乱暴に扱って壊れるような事例はほとんどなかったようです。
現在は国の事業を外れていますが、平成22年の時に導入した端末を8年間も利用し続け(!?)、取り組みが継続されています。

藤の木小学校の特徴として、勤務歴5年未満の教員が半分程度いらっしゃることが挙げられます。
そのため、20代の若い先生に指導力を身につけていただくことにも力を入れていました。
そして、8月に広島市教育委員会によってICTの研修が行われますが、藤の木小学校の教員はスキルが高く、新採教員までその研修では全員指導者になってしまうほどです。

タブレットを活用することのメリットは、個別化し主体的な学習を行えることにあります。
例えば、授業中に資料を共有することもあるようですが、動画も閲覧できたり、質の高い学びにつながります。
また、タブレットだと黒板の前で授業を行うことではなく、個別学習もできることです。
音楽の授業でもタブレットを活用することで音を個別に聞くことができますが、一斉授業と比べると個別化されることで、児童のニーズにこたえることができます。
さらに個別学習だけでなく、協働学習にも効果的です。
調査分析、まとめ発表など、主体的な学びを行うことができます。
Word、Exel、PowerPoinを活用した授業も行われています。

タブレットの種類を確認させていただいたところ、Windows7とWindows8が利用されていました。
平成22年の端末を使い続けることに加え、さらに新たな端末が必要なこともありますが、企業のCSRのおかげで端末利用には予算がかかっていないそうです。
授業を通じてパソコンの基本操作を身につけることにも繋がっているようでした。
タイピングも独自ソフトでマスターできるよう環境を整えています。
小6の児童が1分間に入力できる文字が全国平均で5文字程度のところ、藤の木小学校では30文字であり、約6倍の成果が出ています。

そして、ただタブレット端末があるだけでは、ICTを活用した教育を行うことができません。
今でこそICT教育に取り組む民間企業も充実してきましたが、当時は教材もほとんどなく、試行錯誤で自作されたそうです。
現在はワークシートと呼ばれる資料が1000本近くも蓄積され、マイクロソフトにも表彰されたことがあるそうです。

授業を見学させていただいたところ、小学校1年生の引き算、小学校3年生の少数、小学校6年生の速さというテーマで、実物投影機、デジタル教科書等が活用されていました。
また、スタイラスペンにより書き込まれた回答は、瞬時にテレビに表示することもできます。
そして、グループに分かれて相手に考えをわかりやすく説明する機会が設けられていたり、ただ授業が行われているだけでなく、ICTだからこそできる授業が行われています。
ただ問題を解くよりも発展的な学びが行えているように感じました。

多くの学校でICT機器が整備されてきましたが、教員のスキルにも差がありICTを活用するかは任意です。
しかし、藤の木小学校に来たからにはICTを活用するというミッションを掲げ、各教員は積極的に活用していることは大変素晴らしいと感じました。

新宿区でも、授業でWindowsタブレット(Surface Pro)が利用できる環境が整備されました。
しかし、ICTを活用してすぐに授業を行うことは難しく、研修等によりノウハウを学ぶことや授業の経験が必要となるでしょう。
そして、新たな学校の特色として変えられることもわかりました。
自主的に教材を作成されたり、指導法を確立されたり、試行錯誤の末に確立された教育です。
教育委員会と共同で視察を行いましたが、大変優れた取り組みも多く、ぜひ新宿区立の学校にも活かしていただきたいと思います。

機器以上に、どのようにICTを活用するか、あるいは学んだことで子どもたちがどのような未来をつくっていくかまで想定して、教育に取り組む必要があります。
教育委員会からの情報提供や、教員の研修、あるいは保護者や子どもたちにもICTに詳しい方がいらっしゃると思うので、地域の声を反映させていくことも必要でしょう。
新宿区でもアクティブラーニングが注目されていますが、ICTを活用することで、質の高い教育が行われるよう議会からも改革を推進してまいります。

それでは本日はこの辺で。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤 陽平

新宿区議会議員(無所属) / 1987年生まれ / 早稲田大学招聘研究員 / グリーンバード新宿チームリーダー / Code for Shinjuku代表 / JPYC株式会社