子どもたちが第一!「プログラミング教育等、学校に要求するな!」というご意見と向き合わなければならない

こんばんは。新宿区議会議員の伊藤陽平です。
第4回定例会で、教育に関する代表質問を行なったので、ご報告させていただきます。

文科省も「生きる力を育む」ことを掲げています。
しかし、学校教育と社会の間には、大きな乖離があるように感じています。
現在の小学1年生が35歳になる頃には、人工知能が人間以上の力を持つシンギュラリティがやってくるという説もありますが、少なくとも今の教育はAI時代を生きるためのカリキュラムではありません。
そんな中で、近年はテクノロジーで教育をより良いものにすることを目指すEdtech企業が勢いを増してきました。
学校教育とイノベーションが進む民間教育は、今後より差が開くことになります。

学校教育が存在する以上、その役割を果たせるよう、限られたリソースの中でベストを尽くさなければなりません。
家庭教育のウエイトが大きいことは事実ですが、子どもたちは学校で多くの時間を過ごしています。
学校で働く教員の方々や教育委員会、そして私たち議員は、生まれた環境に関わらず相対的に豊かになれるような教育とは何かを、日々考えて行動しなければなりません。

教員の多忙化が問題となり、組合の方からいただいたご意見の中には、
「プログラミング教育等を学校に要求するな!」
という大変厳しいご意見もありました。
プログラミングが得意な教員や、これから習得する意欲のある教員もいらっしゃると思いますし、すべての方がこのようなお考えをお持ちであるわけではありません。
多忙化の解消という観点からは、真摯にこのようなご意見を伺う姿勢が必要です。
ICTを活用した勤怠管理、ノウハウのある民間企業と部活も含めたワークシェアリングの考えなど、新しいものを取り入れていく改革が必要でしょう。

あくまで主役は子供達です。
今の教育を継続すること自体に、問題があると考えています。
そのため、限られたリソースの中で、どのような教育を優先的に取り組めば、子どもたちが未来の日本で生きる力を身につけることができるのかについて、組合など現場のみなさまのご意見もいただく機会が必要だと考えています。
大人でさえも、人工知能等の発展についていくことに苦労する中で、教員に求められるスキルは確実に変化しています。
給与の額に関わらず、ICTが得意な教員もいれば、苦手な教員もいますし、同じ内容を教える場合でも、教員によって子どもたちが得られるものは異なります。
また、学校に限らず子どもたちのことを第一に考えた人が評価される仕組みも必要です。
教育にも既得権的な要素がありますが、Edtechや民間出身で学校教育に参入できるような流動性や、スキルのある方が評価され対価が得られる社会へ改革が必要です。
そのためにも、教育を公務員が独占するのではなく、選択肢として民間の良さを取り入れていくことが大切だと考えています。

このような背景から、以下の質問を行い、ご答弁をいただきました。

伊藤新宿区は、民間企業の教育に関する取り組みについてどのような調査を行なっているのでしょうか。
将来的に子どもたちが活躍できるよう、先進的な民間企業のノウハウを常に取り入れることが有効だと考えます。民間との連携、あるいは官民一体校なども視野に入れて検討することはいかがでしょうか。

教育長はじめに、民間企業の教育に関する取り組みについてどのような調査を行なっているかについてです。
区立学校における教育は、学習指導要領に基づいて実施することから、文部科学省が指定する研究開発学校や先進的に事業を推進する自治体を対象として調査を行なっています。例えば、民間企業と連携して開発した小学校外国語活動の教材の活用状況や、効果については大阪市を視察したり、区立学校への導入を検討する最新のICT機器や」デジタル教材については、民間企業等が行う教材セミナーや実践紹介・展示会等に参加したりして、調査を行なっているところです。
今後は、引き続き、他地区での民間企業との効果的な連携等について調査を行なってまいります。

次に、民間企業のノウハウを取り入れることについてのお尋ねです。
教育委員会では、多国籍等の中学生に対する進学支援や英語キャンプ、日本語学習支援等で一部民間企業に業務を委託し、連携して事業を進めています。従来型の連携だけでなく学校単位では、正しい情報機器の取り扱い方等の情報モラル教育やプログラミング教育の進め方について、民間企業と教育的効果の検証をするなどの連携を進めているところです。また、地域共同学校の特色を生かし、職場体験前のマナー講座や面接練習を実施するなど、キャリア教育等で地域企業との連携を進めている学校もあります。
今後は、民間企業との連携についてどのように行うことができるかを研究してまいります。

次に、官民一体校についてです。
国家戦略特区の制度を活用し、愛知県が高等学校を公設民営化した事例があることは承知しています。
小・中学校の事例については、承知しておりませんが、今後も国や他の自治体の動向を注視してまいります。

プログラミング教育などは民間と進めていくことについてもご答弁がいただけましたし、すでにこれまでも一定の取り組みをされてきたことも評価しています。

新宿区といえば、IT・先端技術の街ですが、それは子どもたちの教育にとっても言えることです。
時間のかかってしまう公教育という手段にとらわれず、Code for Shinjuku等を通じて民間のリソースで機運を醸成していきたいと思います。

それでは本日はこの辺で。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤 陽平

新宿区議会議員(無所属) / 1987年生まれ / 早稲田大学招聘研究員 / グリーンバード新宿チームリーダー / Code for Shinjuku代表 / JPYC株式会社