レジャーランド化する大学の学費を無償にする前に、学費十数万円の通信制大学の地位向上を!

今日のテーマは大学無償化です。

偶然このようなツイートを目にしました。

大学に行くことだけが人生ではありませんが、意欲のある人に学ぶ機会をつくるためにも、適切な投資が必要だと考えています。

大学の学費無償化は理想的で共感できる部分はありますが、既に大学は運営費交付金など兆単位の税金漬け状態です。
これ以上公費投入を増やすことは、そのまま現役世代・将来世代の負担増につながります。
未来を無視した政策を大人の価値観で行うべきではありません。

人口減少社会では、支出を最小限に抑え、高い質の政策を実行することが必要です。

そこで、多様なキャンパスライフを過ごしている大学生に着目すべきでしょう。
大学にどのような価値を感じ、なぜ支援する必要があるかを、いま一度考えなければなりません。

大学生と言っても、いろんなタイプの学生がいます。
サークルやバイトもできず、朝から晩まで実験をしている理系学生もいました。
一方で、授業はサボり、遊びまわっているような「遊び人」もいます。

私は経済政策学科の学生としてゼミにも入り勉強も頑張っていたつもりでしたが、やはりどちらかと言えば「遊び人」の部類でした。
程度の差はありますが、「遊び人」に属している学生はたくさんいます。

私はなんとなく「遊び人」の大学生になるのに躊躇し、高校生の頃に、
「高校を卒業してからは、仕事をしながら夜学に通うことを検討している。」
と母に話をしたことがありました。

「キャンパスライフを経験しなければ後悔する。学費は払うから4年間遊んで来なさい。」
と言ってもらい、後ろめたさもなく遊んで過ごしました。

そのため、大学の授業以外にもバンド活動にも没頭し、本当に楽しい時間を過ごせました。
今の活動に直結するベンチャーやNPOなどの意識高い系の活動をはじめたのも学生時代でした。

「遊び人」だからこそ学べることがあり、おもしろい大人たちとも出会えます。
会社を設立したり、政治家になることができたのは、「遊び人」だった頃に知り合った方にきっかけをいただいたからです。

自由な時間に何をしたかによって転落する場合もあります。
私の学生時代はそれなりに投資がうまくいったので、母のアドバイスを聞いておいてよかったと思いました。

一方で、私が今通っている通信制大学は本当に厳しいです。
教科書で勉強してレポートと試験で単位を取ることは、相当自分に厳しくなければ難しいものです。

立教大学は遊びながら「卒業」できました。
実は以前も通信制大学に入学したことがあるのですが、仕事との両立が難しく単位が取れず「退学」という挫折を経験しました。

通信制大学の中には、「卒業率10%」とも言われるほど難易度の高い大学もあります。
しかし、社会的に通信制大学はあまり評価されていないようにも思えます。

そこで、通信制大学の支援を充実させるべきでは、と感じています。

なぜなら、「すべての人たちを大学に通わせたい」だけであれば、通信制は学費が年間十数万円ほどなので、奨学金などを検討する以前に、少しアルバイトをするだけで通えてしまいます。
それでも低所得者対策が必要であれば、自治体で支援をすれば良いと思います。

私が通っていた高校は進学校だったため、そもそも通信制を選択肢にも入るような環境にはありませんでした。
高校や塾など進路指導をする立場の方にも通信制大学の認知度を高めることが重要です。

有名大学でも通信教育課程を設けている大学はたくさんあります。
慶應義塾大学 通信教育課程

奨学金で大学に通っていた学生が皆、勉強熱心で計画的な人ばかりではありません。
将来の返済プランなども考えず、借りたお金を使いこみ、遊びまわっている学生もいました。

無償化すればこうした動きがますます加速するのではないかと思います。

確かに世帯によって所得格差がありますが、大学での「遊び」の格差を埋めるために支援をすべきでしょうか。

人を育てるために投資も素晴らしいと思いますが、まず政府がすべきことは、最低限にも満たない層への支援です。

今こそ通信制大学という発明を活かし、ピンポイントで投資をすることが必要です。

通信制大学は、少しお金を払えばスクーリングで大学に行くこともできます。
また、最近では大学によってインターネット動画での講義もあります。
インターネット動画の活用は、まだごく一部の大学で行なわれている取り組みですが、これからは通信制大学のオンライン化を政策として打ち出すべきでしょう。

最近の通信制大学は人間教育にも力をいれています。
授業外学習の場として、合宿やサークル活動も充実していて、ただ「単位」を取得するだけの場所ではなくなってきています。

公費投入の増加による大学無償化など時代遅れの政策ではなく、何が将来世代のためになるのかを考える必要があります。
政府支出を抑え効果が出る方法をもっと真剣に議論をすべきです。

地方自治体でも奨学金の議論をすることがありますが、大学に対する古い価値観から脱却し、優しさある教育政策を提言していきたいと思います。

それでは本日はこの辺で。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤 陽平

新宿区議会議員(無所属) / 1987年生まれ / 早稲田大学招聘研究員 / グリーンバード新宿チームリーダー / Code for Shinjuku代表 / JPYC株式会社