全国で事例多数。スタートアップ新宿も政務活動費は自主廃止

こんばんは。新宿区議会議員の伊藤陽平です。

全国的にも政務活動費を廃止する取り組みが増えてきました。

神戸新聞NEXT|社会|小野市会が政務活動費廃止 全会一致で可決

新宿区議会でも様々な議論がありますが、月15万円、年間180万円の政務活動費は廃止しても問題ないと考えています。

まず、誤解のないよう申し上げますと、政務活動費と聞くと第二の報酬とも呼ばれ不正が行われているイメージがありますが、単なる議会活動の経費であり、現在の新宿区議会では適正に利用されているということをご理解をいただければと思います。

その上で新宿区議会に限定した私の個人的な見解をお伝えします。

現状をご理解いただくために政務活動費の主な支出項目についてお伝えします。

まず、事務所についてですが、都議会であれば都庁にきてもらうわけにもきませんし、地元に必要かもしれません。
しかし、区議会の場合は役所で区民相談を受けることも可能ですし、外で話しても問題ないテーマであれば、喫茶店やコワーキングスペースでも対応することができます。
私はネットや電話での相談も多く、普段はあまり事務所の必要性を感じていません。

次に区政レポートです。
もちろん活動報告の発信は必要だと思いますが、顔と名前がドカーンと出ている広報的な役割のチラシが配布されることもあります。
私の場合、広報活動はネットを中心に行なっていますし、チラシの印刷もインターネットで注文すると1枚数円で両面カラー印刷も可能なので、政務活動費の必要も感じていません。

公私混同があるため、按分という自己負担と政務活動費を混合する制度もありますが、事務所やチラシに関しては政治活動(選挙)と不可分だと考えますし、1円も支出する必要はないと考えます。
例えば政党に所属しない新人の場合、当然ですが事務所もチラシも全額自己資金となりますし、対等な勝負をするためにも政務活動費は認めるべきものではないと考えています。
また、議会だよりという広報誌がありますが、公費投入を行う場合はこちらに注力すべきです。

また、視察に関しては一定の必要性を感じていますが、公私混同が起きてもわかりにくいこと、観光も含めて楽しみたいので、政務活動費を充当することはいたしません。

これまで事務所とチラシと視察に関しては支出をしたことはありませんが、そうなるとそもそも支出することがなくなってしまいます。

政務活動費を単純に腐敗だと批判する前に、他にも効果的な使い方があるかもしれないと考え、SNSを中心に意見を公募して全額使えるか挑戦してみたことがあります。

斬新なご意見がたくさん集まり、
「社会的課題を解決するための会社を調査目的で設立しては。」
など一定の効果が見込めそうな気もしていましたが、
「前例がないので難しいかと…」
と議会事務局から言われてしまい、すべて断念することになり、結局お金がたくさん余ってしまいました。

補助金などと同じですが、税に紐付いている限りは斬新な活動は不可能ということです。

確かに議会活動をすれば、調査や資料の購入が必要だったり、コストがかかることは多々あります。
過去には以下のような調査を何度か行ったことがあります。
都政と連携しながら一定の成果につながりましたし、これまでの投資に対しては費用対効果を出せるよう努力してきたつもりです。

旧市ヶ谷商業跡地に関して矢来町近隣3513件に電話調査してみた結果

ただ一つ言えることは、区民目線で議会活動をする場合、特別な調査を行うことが必ずしも必要だと言えないことです。

一般の区民のご意見の方が優れている場合もよくあります。
議員よりも知識のある方もいらっしゃると思いますし、NPOなど民間で、税金がなくても政務調査のようなことが行われる場合もあります。

また、実際に議員になる以前は仕事をしながら自治基本条例の委員をさせていただきました。
責任の重さは異なりますが、やっていたこと自体はほとんど変わりませんし、民間に勤めている方であっても、議会で現職の議員や首長と議論した場合に、必ずしも劣るものだとは考えていません。
むしろ民間で仕事をしていること自体が、行政には欠けた視点を得ることであり、政務活動のようなものだと考えるべきです。

もちろん、自分で意見を出すことも必要ですが、インターネットを利用すれば、自分の頭では思いつかなかったであろう、優れたご意見を、様々な方からいただくことも可能です。

インターネットの一例をご紹介させていただきましたが、議会活動のコストは安くなってきていると思います。
自治体に関する資料の多くはインターネットで閲覧可能ですし、視察に行かなくても、電話で具体的な質問をさせていただくと答えていただけるため、必ずしも全てのケースで移動が必要でもありません。
新宿区の場合、参考になる事例は地方よりも、同じ特別区、あるいは東京都にたくさんありますが、近いので交通費も不要です。

本当に専門的な政治家が必要であれば、政務活動費のように全区民に強制的に税負担を強いるのではなく、民間で求めている人だけで資金を捻出すれば問題ありません。

様々な価値観があると思いますが、政務活動費、あるいは議員報酬や費用弁償なども含めて、議員がもらえて当たり前のようなスタンスではいけませんし、本当に必要なもの以外は減額や廃止をしていくべきでしょう。

スタートアップ新宿では、政務活動費は自主的に廃止し、年180万円削減しながらも、民間と協力することでこれから右肩上がりに調査の質を向上させます。
議会ハックに関心のある方は、ぜひ一緒にやりましょう。

段階的にでも、まずはブラックな方が多い政治家から働き方改革を行い、副業を推奨するなど自己資金で政治活動がしやすい環境をつくる方向へ舵をシフトすべきではないでしょうか。

たまに勘違いされてしまうこともあり、
「政務活動費を使っていないということは、仕事をしていないことだろ!」
と言われてしまうこともあります。

私は基本的に身を切る改革という言葉は使いませんし、必要な予算は拡充するべきだと考えていますが、新宿区議会のケースでは政務活動費が存在しない方が、より自由な議会活動につながるのではないかと考えます。

また、目先の話としては、他会派のご協力が必要ですが、まずは費用弁償について取り組んでいきたいと思います。

費用弁償の根拠は交通費。歩ける距離でも2,500円、都議会を参考に廃止しよう

それでは本日はこの辺で。

ABOUTこの記事をかいた人

伊藤 陽平

新宿区議会議員(無所属) / 1987年生まれ / 早稲田大学招聘研究員 / グリーンバード新宿チームリーダー / Code for Shinjuku代表 / JPYC株式会社